生存マニュアル:もし、自分が乗った車が他の車と正面衝突をしたら

生活編

 無さそうでいて意外に起きるのが交通事故。

 そんなの自分には関係ない、と思っていると、明日は我が身で起きます。

 今日は、管理人が遭遇した二度の交通事故の経験から、生存マニュアルとして、役立つ情報を提供します。

一度目は車同士の正面衝突

 南米の某国に出張中に、車同士の正面衝突に遭遇しました。

 まずは、この時の状況から説明します。

 管理人が乗ったランドクルーザーは、その国の首都に向けて走行していました。首都到着までは2時間くらいの場所です。昼食を終えて走り始めてすぐに、このアクシデントに遭遇することになります。

 ちょうど雨がパラパラと降り始めてきました。管理人は車の後部座席右側に乗っていました。

 まもなく、車が横に滑った感じがして、隣の人と話していたのをやめて、前方を見ました。遠くに赤い乗用車が見えます。

 運転手は、トラックの運転手をやっていた人で、運転は上手です。ところが、車は、制御不能に陥っていました。今から考えると、ハイドロプレーニング現象による制御不能だったようです。

 制御不能に陥った我々の車は、対向車線を走行しています。ハンドル操作が全く利かない。

 結構広い道路で、道路の両脇は広いスペースがあったことから、車が少し流されても周囲の建物に衝突するという危険は少なく、その時点ではそれほど緊張はしていませんでした。

 しばらくすると(たぶん、2、3秒かも)、ハンドル操作ができるようになり、対向車線にはみ出ていた車を自分の車線に戻すことができました。やれやれです。・・・、と前を見ると、赤い乗用車が対向車線をはみ出し、こちら側に迫ってきました。
 あっ!と思った瞬間、正面衝突。

 管理人は、とっさに体を縮めたようです。衝突の衝撃で、かけていた眼鏡が前方に飛び、体が前の座席にぶつかりました。かなり痛い! 前の座席に全身をぶつけたようです。

 幸いなことに、前の座席があったために、車外に投げ出されずにすみました。しかし、頭、脚、腕を強打しているようで、とても痛い!

 衝突した赤い対向車は横転して横向きになっています。ラジエターからは蒸気が勢いよく噴き出しています。爆発するのではないかと恐怖を感じたので、とにかく、車の外に出ました。

 我々の車には、私と同僚と運転手の三人が乗っていましたが、全員、大きな怪我はしていないようです。相手の車には、二人が乗っていましたが、横倒しになった車から這い出してきました。

 後で聞いたのですが、相手の車の乗員は大腿骨骨折の大けがだったそうです。

 しばらくすると、先行していた同僚の車が戻ってきました。実は、二台の車で移動していたのですが、後続車が来ないので心配して戻ってきたのです。

 その車に全員が乗って、首都に向かいます。首都までは2時間。衝突による打撲が痛みます。

 実は、どこをどのようにぶつけたのか記憶がないので、とにかく、病院に行って検査することにしました。しかし、遠い!
 頭を前の座席に激しくぶつけたらしく、頭が痛い。脚も痛い。腕も痛い。骨折はしていないようですが、とにかく痛い! 頭がもうろうとしているので、内臓に損傷がなければいいなぁ、とだけ考えていました。

 首都に着いてすぐに病院に行き、検査してもらいました。結果は、打撲だけだったようです。

 ホテルで二日ほど安静にしていたら元気になりました。

 この事故は、こちらの車が対向車線にはみ出したのに驚いた対向車がブレーキを踏んだとき、こちらの車と同じようにハイドロプレーニング現象が発生し、制御不能に陥ったことから発生したものでした。

 車の速度はたぶん 80km/hr 程度で、それほど出ていなかったのですが、雨の降り始めに、道路表面の土が溶け出し、このようなことが起きるようです。(この国では、80Km/hrはゆっくり運転です(笑)。)

その後のこと

 日本に帰国してから、病院に行って検査してもらいました。その結果、特に問題はなく、ほっとしました。

 日本の病院で印象に残っているのは、「外国で交通事故に遭った」とお医者さんに話したとき、とてもいやな顔をされたこと。これは、保険の関係でとてもめんどくさいことになるらしいのです。通常の保険証が使えない。交通事故では、通常の保険証が使えないということを初めて知りました。

二度目は車の転覆事故

 二度目の交通事故もやはり海外です。今度は、転覆事故。ほとんどあり得ないような事故でした。

 某国の田舎を走行中に、突然、車が蛇行し始め、反動で転覆。車がひっくり返り、天井を路面にこすりながら道路上を滑っていき、沼地に着水。そのときは、タイヤから着水したために、死者は出ませんでした。逆さまになったまま着水していたら、全員死んでいたかもしれません。

 この時の車は、トヨタのピックアップ車。運転手を含め四人が乗車していました。

 この事故がなぜ起きたのかは分かりません。運転手が未熟だったのは間違いない。

 管理人は、助手席に座っていたのですが、車が蛇行し始め、転覆するとき、アスファルトの路面が目の前に迫ってきたのを今でもよく覚えています。

 事故の後、車から這いだし、全員大きな怪我もなくよかった、と思ったとたん、首が動かない。というか、頭の重みを首で支えられない。このため、手で頭を支え、周囲を見回しました。むち打ち症です。

 ふと、腕を見ると、肘の内側が内出血を起こし、まるで豆腐を皮膚の中に入れたような状態になっています。フロントガラスが割れ、あちこち切り傷だらけですが、大きな出血はないようです。

 幸いにも近くに病院があったため、通りかかった車に乗せてもらい病院まで連れて行ってもらいました。

 この頃になると、むち打ち症が進行し、頭の重みを首で支えられない。すぐにコルセットをはめてもらいます。テレビなどでよく見かけるアレです。このコルセットは、発泡スチロール製でとても軽い。

 肘の内出血は、大きな血管が打撲により切れたために起きた出血でした。この治療は、幅の広いゴムバンドを腕に巻くことで、皮下の鬱血を体内に吸収させるもので、豆腐のように盛り上がっていた内出血は処置後数時間で体に吸収されました。残ったのは、どす黒いアザ。このアザが日が経つにつれ腕全体に広がっていきます。かなり不気味です。ジブリのアニメ『もののけ姫』に出てくるアシタカになったような気分です。

生存マニュアル

 管理人のケースでは、重篤な怪我に至らずにすみました。
 今思うと、その理由は次のようなことだったのではないかと思います。

1.シートベルトを締める
 最初の事故の時は、後部座席に座っていたので、たぶんシートベルトをしていなかったと思います。良く覚えていません。二度目の事故の時はシートベルトをしていました。もし、ベルトをしていなかったら、確実に車外に投げ出されていました。それほどの衝撃でした。シートベルトに救われたと言えます。
 ただ、シートベルトには問題があります。車がぶつかった瞬間にシートベルトはロックされるので、身体は座席に固定されるのですが、重い頭は前方に移動します。この時に首を痛めるようです。そして、肩から首にかけての筋肉が切断されてしまうようです。シートベルトの跡は長期間痛みました。

2.身体を小さくする
 最初の事故の時、瞬間的に身体を小さく丸めたために、手足と頭だけの打撲ですみました。事故の衝撃を和らげ内臓を守るために、身体を小さく丸めるのが有効かと思います。

3.無理をしない
 事故に遭うと、意識・記憶が飛んでしまいます。本人はずっと意識があるつもりでも、後で近くにいた人に話を聞くと、飛んでいる記憶があるようです。自分の覚えている記憶と話がつながらないのです。
 どちらの事故でも事故に遭うまでの部分はよく覚えているのですが、事故の瞬間とその後の記憶が飛んでいます。だから、身体のどこをどの程度ぶつけたのかの記憶がありません。でも、これは後になって分かることで、その時は、記憶がつながっていると思い込んでいます。
 このため、事故に遭ったら、無理をせずに、一刻も早く病院に行くことが大切だと思います。

4.事故は避けられたのか
 そもそも論の部分です。事故は避けることができたのでしょうか。
 管理人の結論は、不可能ということ。管理人が遭遇した事故を避けることはできなかったと思います。
 ただし、二つの事故に共通する要素がひとつあります。それは、休憩し、その後で走り出した直後に事故が起きたと言うこと。ありそうもない事故に共通しているのがこの事です。

 飛行機の場合、離陸と着陸のときに事故が集中しています。これは飛行機の浮力との関係で説明されていますが、本当にそれだけなのでしょうか。
 作業中に発生する労働災害も始業直後や休憩後に作業再開した直後に多く発生しているようです。
 
 「自分には関係ない」と考えるのは過ちで、よその人には関係しないかも知れないけれど、「自分には関係するかも」と考えることで事故・事件に遭遇するのを防ぐことができるかも知れません。