2019年3月25日放映のTBS『名医のTHE太鼓判!』という番組で「【花粉症に効く果実】★“ジャバラ”ってなんだ!」という内容をやると事前の宣伝があったので、録画をして観ました。
タレントがたくさん壇上に並んでいる番組は基本的に観ないので、今回も飛ばし観です。
三重県の北山村だけで栽培されている柑橘類『じゃばら』が花粉症に劇的に効くという内容でした。
『じゃばら』が花粉症に効果があることは、数年前にテレビで紹介され、それ以来、知る人ぞ知る花粉対策の柑橘類なのですが、今回の番組では、劇的な効果があるような放送内容になっていました。
本当かどうか、近いうちに自分で買って試してみたいと思います。番組を観る限り、花粉症に対してかなりの効果が期待できるらしい。
番組で説明していた内容は以下のとおりです。
『じゃばら』の効果
花粉症は、花粉による粘膜への刺激により、体内で炎症原因となるヒスタミンが放出されることから起きる。このヒスタミンの放出を「じゃばら」に含まれるナリルチンが抑える働きがあり、炎症が緩和され、症状が改善する。
4名の被験者が2週間、じゃばらパウダーを服用(食事に混ぜる)することで、劇的な改善効果が得られた、というものです。
テレビを観ているだれもが感じるのは、テレビにだまされるのは嫌ということ。
これって、本当なの? 本当であれば、花粉症の人にとって、これ以上の朗報はない。しかし、あやしい情報であれば、視聴者は、この商品を買うことで金銭的被害を被ることになります。
本当はどうなんだ?
学術的に「じゃばら」の効果は証明されている
2007年、岐阜大学医学部湊口 信也教授らがアレルギー学会で『スギ花粉症の症状とQOLに対する「北山村のじゃばら」果汁の効果』を発表しています。この “QOL” とは「Quality of Life:生活の質」のことです。
この論文の特徴は、アレルギー改善の程度を計測するのは難しいことから、「QOL」の改善の程度を評価することで、有効性を客観的に判定しようとしていること。
花粉症が改善したかどうかの判定は確かに難しいと思います。それは比較する環境が異なるからです。
『じゃばら』果汁を飲む前と飲んだ後とで比較しようとしても、上記の研究では少なくとも2週間以上の飲用を継続して判定しています。ところが、アレルギーの原因となる花粉の飛散は、この2週間の間に大きく変化している可能性があります。つまり、同程度の花粉飛散量であると証明できる環境下でなければ、効果があったかなかったかの判定は難しいことになります。
そもそも、「QOL」という曖昧な概念を効果の判定に使われても、という気もします。
通常なら、あまり信頼できないデータだと思うのですが。
なお、管理人がこの研究成果を否定している分けではないので念のため。なにしろ、論文を読んでいないので。
番組の中では、岐阜大学医学部の写真が表示されるだけで、研究者への取材はありません。
池袋大谷クリニックの大谷義夫院長が北山村に現地取材に行っているのですが、バラエティ番組感満載の内容で、登場人物などかなりの演出が行われていると感じます。大谷医師は経験豊富な呼吸器の専門医なので、彼の言っていることは信頼できそうですが。
「じゃばら」の効果を番組の中でまじめに紹介しようとするのなら、岐阜大学に行って研究者から直接、聞き取りをすることが絶対に必要だと思うのですが、「川口浩探検隊」のような番組作りになっていて残念です。
なお、じゃばらを研究している大学は『大阪薬科大学生薬科学研究室』など他にもあります。
アレルギーの数値って何だ?
番組の中で、アレルギーが改善したとの判定で使われていた「アレルギーの数値」って何だろう?
「アレルギーの数値」の脇に、「NO値」と書いてあるテロップもあったので調べてみます。
どうやら、呼気NO検査(一酸化窒素検査)のことらしい。これは、呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査で、気道炎症の程度を測るための指標になるものだそうです。
気道に炎症があると炎症性刺激により主に気道上皮のNO合成酵素(INOS)が誘導され、大量のNOが産生されます。そのため呼気中NO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を知ることができるとされています。
ということは、「アレルギーの数値」ではなく、炎症の程度を判定する指標ということでしょうか。
番組の中では、花粉症ではない人の「アレルギーの数値」は、55ppmと説明していました。そして、4人の被験者のこの数値が劇的に改善したことを強調していました。
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- 中村さん 64ppm ⇒ 31ppm
- 我妻さん 67ppm ⇒ 36ppm
- 戸塚さん 66ppm ⇒ 59ppm
- 宮崎さん 115ppm ⇒ 92ppm
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- 確かに、劇的に数値が下がっているのですが、管理人が気になったのは「単位」です。
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呼気NO検査を調べていると、そこで使われている単位は「ppb」でした。「ppm」ではありません。
ppm(parts per million)とppb(parts per billion)とでは、1000倍違います。(1ppb = 0.001 ppm)
番組で説明していた「単位」が違うのではないかと思います。
もし、単位間違いをしているのなら、ちょっと笑えないことになります。
100万円の品物が50万円でお安く買えます、と紹介したのに、実際には、1000円の品物が500円で買えます、ということでした! というお間抜けなことになります。
「花粉症でない人の平均値は55ppm」という数値をネット上で見つけることができません。
管理人の疑問は、とてもシンプルなものです。
アレルギーの数値ってあるの?
数値の単位は「ppm」で本当にいいの?
平均値55ppmの出典は何?
いつもならこれから掘り下げるのがこのサイトの特徴なのですが、今回は管理人が単に疑問に思っただけなので、これでおしまいです。
そんなことよりも「じゃばら」という果実の存在に関心が湧きます。
「じゃばら」って何なのだろう?
「じゃばら」って何なのだろう?
番組では、次のように説明していました。
「じゃばら」は江戸時代から栽培されていたとの記録はあるものの詳しいことは分かっていません。村では「じゃばら」を大切に守り続け、村の外には持ち出せない門外不出の果実でした。
「じゃばら」は北山村原産とされ、(突然変異により)偶然誕生した果実のようです。
現在、北山村では年間70トンの収穫があり、3億2千万円を売り上げる重要な商品になっています。
「じゃばらパウダー」
番組の中で、被験者が試した「じゃばら」の用法は次のようなものです。
「じゃばらパウダー」を1日3回、毎回スプーン1杯摂取する。これを2週間継続する。
「じゃばらパウダー」は皮ごと粉末にしたもので、スプーン2杯でじゃばら1個分だそうです。ステロイド抑制効果のあるナリルチン(narirutin)を最も多く摂取できるのが「じゃばらパウダー」なのでしょう。
これは、通販でも買うことができます。
じゃばらパウダー 1296円 と番組で紹介していました。
なお、じゃばらの果皮には、有効成分ナリルチンが果汁の13倍含まれているそうです。花粉対策で購入するのであれば、果皮まで乾燥粉砕したパウダータイプがお薦めでしょう。
TBSが力を入れて作った番組なので、その効果は絶大。現在品薄のようです。産地としては、宣伝になってありがたいのかと思ったら、ショップサイトを見る限り、そうでもないようです。じゃばらの生産量が限られているので、一時的なブームはかえって迷惑といった感じかも。
このTBSの番組を観て、「じゃばら」に関心を抱いた人がたくさんいると思います。
いろいろ書きましたが、個人的には、「じゃばら」の効果に期待しています。
管理人が花粉症になったのは10年くらい前のこと。とてもひどい状態だったのですが、ボリビアに赴任したら症状が出なくなりました。
花粉症が治ったのかと思っていたのですが、日本に戻ったら再発。
以前、珪藻土で花粉症を劇的に緩和する記事を書きましたが、今年もこの方法で乗り切っています。しかしこれは、自分の部屋にいるときには使える方法なので、外出すると使えない。
やはり、花粉症を根本的に抑制する「じゃばら」は魅力的です。
近いうちに、その効果を試してみたいと思います。
信じていいの、TBS?
この手の番組は、本当かどうかさっぱり分からないところが問題だと思います。
番組の作り手は、「これはバラエティだから」という逃げ口を準備しており、放送内容の真偽には責任を持つつもりなどないようです。彼らが関心があるのは視聴率とスポンサーだけ。
このような内容はNHKでやってくれるとよいのですが。
NHKに高額な受信料を支払っている管理人としては、NHKの番組の内容には関心があります。
おっ、あの「ガッテン!」で番組予告をしている!
このような番組で頼りになるのはNHKの「ガッテン!」。調べてみると、4月3日に『今、ツラいあなたに!保存版 新発想の花粉対策SP(仮)』という番組を放送するようです。
これは楽しみ。
現在、NHKの番組スタッフは大慌てで「じゃばら」に関する情報を収集しているのかも。