動画の不要部分をカットし無劣化で高速保存できるフリーソフト『LosslessCut』

ソフトウェア編

 最近の動画は、高画質のものが多くなり、それに伴いファイルサイズも巨大なものになっています。

 動画をたくさん収集しても、実際にそれを見ることはほとんどないのが実情です。その理由は、そんな暇などないから。

 1時間の動画があったとすると、実際に観たいのはその数分だけという場合がほとんどです。

 動画の不要部分をカットして、コンパクトなファイルにしたいと思うこともしばしば。しかし、それがなかなかできない! 

 動画をたくさん集めている人ほど動画は観ないのではないでしょうか。

 人の人生はとても短い。動画の不要なフレームを削除することで、無駄な時間を省くことができます。

動画編集ソフトの問題

 ところで、動画編集ソフトはたくさんありますが、機能が多すぎてとても使いにくい。その中で、最も使いやすいのがWindowsに付属している『Movie Maker』です。不要な部分を切り取り削除したり、別の動画を挿入したりが簡単にできます。

 ところが、このソフトには問題があります。動画の一部をカットしても、全体のファイルサイズが小さくならない。むしろ、大きくなることもあります。これは、編集後の動画を再エンコードする過程でファイルサイズが大きくなってしまうのが原因のようです。エンコードの種類を選べるのですが、どれを選んでも元の動画より画質が劣化してしまう。さらに、他のソフトにも言えることですが、再エンコードするため、とても時間がかかるという問題があります。1GBを越える大きなファイルだと数十分かかることもあります。そして、エンコードに失敗することも。

 やりたいことはとても簡単。動画の不要部分をカットしたいだけ。それなのに、保存に時間がかかる、画質が劣化する、などの不具合が発生してしまう。

 動画編集ソフトを有料版も含めいくつか試してみましたが、どれもこの問題に対応していません。

 いろいろ探した結果、動画の不要部分をカットして、無劣化でファイルサイズを小さくするには、フリーソフトの『LosslessCut』が便利なことが分かりました。

『LosslessCut』は不要部分のカットには最適のソフト

 『LosslessCut』はフリーソフトなのに動画の不要部分のカットには最適のソフトです。

 このソフトは、再エンコードをしないため、画質の劣化が起こらず、カットしたコマの数だけファイルサイズが小さくなります。さらに、不要部分を切り取ったファイルを保存するのに時間がかかりません。まさに、一瞬で保存できます。

 ただし、このソフトは使い方が少し分かりにくいので、以下で説明します。

『LosslessCut』を入手する

 『LosslessCut』をダウンロードします。最新バージョンは制作者『GitHub』からダウンロードします。2019年6月13日に更新された「v2.3.0」が最新バージョンです。このソフトは度々更新しています。前回の更新は1ヵ月前でした。

 管理人のパソコンは64ビットなので、『LosslessCut-win32-x64.zip』というファイルをダウンロードします。このZipファイルを解凍すると、同名のフォルダが作られます。このソフトはインストールする必要はありません。解凍したフォルダを使いやすい場所に保存すると良いでしょう。

 このフォルダの中の実行ファイル「LosslessCut.exe」をダブルクリックするとソフトが起動します。

『LosslessCut』の使い方

 基本的に、切り取る初めの位置で ボタンをクリック。切り取りの最後の位置で ボタンをクリックします。これで切り取り範囲が決まりました。後は、ハサミのアイコン をクリックすると、元動画と同じフォルダに編集後の動画が保存されます。

 下の画像では、動画の最初から2.7秒間を切り取って保存する場合です。紫色の部分が動画が保存されます。

 複数箇所切り出すときは、左下の[C+]ボタン( )を押してから ボタンをクリックします。 切り取る箇所ごとに毎回、この[C+]ボタンをクリックします。

 選択した範囲を削除するには、① 再生バーを削除したい範囲に移動し、② [d]ボタンをクリック。これで選択範囲が解除されます。

 複数の範囲を設定したときの保存方法は二種類あります。一つは、選択範囲ごとに個別のファイルとして出力する方法、もう一つは、選択範囲をすべてつなげて一つのファイルとして保存する方法です。

 この結合するかどうかは、ツールバーの [nm] の部分で選びます。
 

  • 結合しない: nm : no merge
  • 一つに結合する: am : auto merge

 たとえば、3カ所選択したものを接合せずに [nm] の状態で保存(ハサミアイコン)すると、次のように保存されます。

 オリジナルが上。その下に三つのファイルができており、ファイル名はオリジナルのファイル名の後ろに切り取った範囲の時間が付きます。

 その他の機能ボタンについて、まとめて記載します。ほとんど使うことはないでしょう。

二本の動画の結合

 動画を分割してダウンロードする場合があります。大きすぎる動画は、ダウンロード途中でエラーが出てしまうことがあり、途中までしかダウンロードできないこともよく起きます。

 こんな時は、ダウンロードに失敗した残りの部分だけ、ストリームレコーダーなどでダウンロードするという方法もあります。

 そして、最初にダウンロードしたものと後でダウンロードしたものをつなげて一本の動画にします。

 二本の動画の重複している部分は、上の方法でカットします。

 次に、日本の動画をつなげて一本にします。

 『LosslessCut』画面上部のメニューバーに [Tools] ⇒ [merge files] という機能があります。これは、複数のファイルを一つのファイルに統合する機能です。複数箇所でカットして個別に出力したファイルの順番を入れ替えて一つのファイルにするときなどに使えます。

[merge files]をクリックすると、ファイルの選択ウインドウになるので、つなげたいファイルを[Shift]キーを押ながら複数選択します。

 すると、以下の画面になります。

 つなげる順番がこのままで良ければ、[Merge!]ボタンをクリック。ほぼ瞬時に作業終了。最初のファイル名-merged.mp4 というファイル名で保存されます。

 上の事例では、「奇跡のビデオ.mp4-merged.mp4」というファイルが生成されます。

音声ファイルの抽出

 音楽動画をスマホで聞くとき、動画は不要で音楽だけ聴きたいという場合があります。動画を再生すると電池を大きく消費しますが、音楽ファイルなら電池の消費を抑えることができます。

 『LosslessCut』には動画と音声を別々に抽出する機能があります。

 音声を抽出したいファイルを『LosslessCut』にドロップし、

 [File] ⇒ [Extract all streams] 

 これで、動画と音声(音楽)が分離し、元のファイルのフォルダに出力されます。

 管理人がやった事例では、MP4ファイルでは、音声ファイルは拡張子[.m4a]で、webmファイルでは、拡張子[.opus]で出力されました。いずれの形式の音楽ファイルでもスマホで問題なく再生できました。