「家系図」と聞くと、「うちは分家で家系図なんて。そんな由緒正しい家でもないし」と思われる方が多いのではないでしょうか。でも、跡取り以外は皆分家です。家系図は、「祖先は菅原道真公に繋がる家柄」というような自己満足のための使い方だけではない、もっと実用的な使い方があると思います。
今日は、管理人が「家系図」を作った理由とフリーソフトを使った作り方の要点についてご紹介します。
歴史に関心のある方で、歴史上の人物の家系図を作りたいと考えている方にも役立つ情報かと思います。
家系図を作ることで繋がる世界
管理人が家系図を作ろうと思い立った直接的な理由は、父方の従兄弟の子どもと母方の従兄弟の子どもが結婚することになったからでした。
管理人の家系を中心に考えれば、父・母両方の家系は容易に分かるのですが、結婚する当事者は、血のつながりはなく全くの赤の他人です。
それが、本当に赤の他人同士の結婚なのか、遠い親類縁者の結婚なのか、それを示すには、我が家を中心とした家系図が必要でした。父方の本家、母方の本家もこのつながりについて全く把握できていない状況でした。
家系図を作る必要があったのは、次のような理由があります。
今回の縁談は、管理人の姉が従兄弟の子どもである二人を引き合わせたことから始まります。
昔はたくさんいた「世話好き」おばさんの姉ですが、二人を引き合わせたら、話がとんとん拍子に進み、結婚の運びとなりました。
それはそれでおめでたいのですが、問題は、両家の本家同士が、両家が遠い親戚だったという関係を理解できないことでした。
別に、遠い親戚だったのが分かったからといって何かが変わるわけでもない、・・・・と思ってしまいますが、現実社会は違います。
世の中、血縁関係ほど重要なものはない、と考える人もたくさんいます。数十年、数百年という長年の経験から、遺伝子にまつわる問題を心配します。特に、本家筋の家系は、その傾向が強いでしょう。遺伝子にまつわる問題とは、血筋における精神異常者の有無の問題でもあります。
皇室の婚礼で必ず問題視される点です。
由緒正しい天皇家の家系でも、歴史的に見ると、さまざまな血筋の問題が発生しているようです。
人権論者は、外向きにはきれい事を言いますが、(この問題をよく知っているからこそ)そういう人に限って、(人権を無視した)排他的な行動に出る。単なる食い扶持のための発言に過ぎません。
家系図が必要となるもう一つの理由
3年前に、管理人の父が他界しました。趣味の占いでテレビにも出演して、地元では有名人でした。
そんな父の葬儀で感じたのは、弔問客が誰なのか分からない、ということでした。
親戚なのか、ただの知人なのかさえ分からない。
そんなときに、役だったのが姉の知識です。祖母の生前、家系を詳しく聞き取っていて、記憶していました。このため、三代くらい前まで簡単に家系を遡ることができます。
通夜、葬式などの葬儀の式場で、来客者がどのような関係の人なのかが分かると、全く違った対応が可能です。それさえ知らないと、「あの親族は・・・」 というレッテルを貼られてしまうことになります。
ここまで読んで、自分とは関係ないと思われた方もいると思います。親類とはほとんど交流がない、という方も多いのではないでしょうか。
でも、その現状に、心の中では、・・・・、何かが違うように感じていると思います。
その最たる事例が結婚式の招待客。管理人の甥・姪の結婚式には、親族として20人近くが出席しますが、相手側の親族の出席者はほとんどいない。相手側がいつも驚く光景です。
家系図は次の世代のために作る
管理人は、4人兄弟で、息子と甥・姪合わせて7人います。彼らは小さい頃から一緒に遊んだ仲で、仲が良いようです。
それはそれで良いのですが、心配なのは、彼らの知識は、それぞれの父母の代しか知らないこと。7人のうち、すでに4人結婚しましたが、今度は、それぞれの結婚相手のことも知る必要があります。年末の家族旅行や冠婚葬祭で、会う機会が増えました。
すると、先祖代々の一系統の家系図ではなく、複数の系統の家系を一つの家系図に描く必要があります。
家系図作成ソフトに求められる条件
ここで、管理人が作りたい家系図の条件をまとめておきます。
- 複数の系統が一つの家系図に描けること
- どの世代も追加、削除が簡単に行えること
- 修正が可能なように、Excelで作れること
- 複雑な家系図でも、図の配置がきれいに描けること
- メモ等必要な情報を書き込めること
こんなところです。
条件を満たす家系図作成フリーソフトはあるのか
「エクセル家系図vr3.9」というフリーソフトで上記条件を満たす家系図を作ることが可能です。Vectorからダウンロードできます。
このソフトは酒田市在住のHiroさんが作られたもので、初版は2007年1月。その後改良を重ね現在のバージョン3.9(2018.1.6公開)になっています。
このソフトは写真を貼り付けたり、生没年月日を表示できたりと多機能の優れものですが、管理人の用途に使う場合は、ちょっと工夫が必要です。
使い方は簡単なので、説明は不要でしょう。ただし、作り方のコツがあるので、それをメインに説明します。
このソフトのデフォルトには、下のようなサザエさんの家の磯野家家系図が入っています。
「エクセル家系図vr3.9」の使い方
最初に、基本的な注意点です。
- 家系図の描き始めは、どこから(誰から)初めても良いのですが、できるだけ祖先から始めると不具合が発生しずらいと思います。
- 最初から大きなものを作ろうとせず、小さな家系図で練習してから本番を描き始めるのが手戻りがないと思います。
- 安定したマクロなので、ほとんどエラーが発生しませんが、やり方を間違えるとエラーになるので注意が必要です。詳しくは以下で説明します。
[説明]タブに記載されているので、まずはそれを読む。
- ダウンロードしたフォルダの中のファイル「excelkakeizu_ver3.9.xlsm」を開く。
- [入力]タブを開き、画面上部中央にある [全削除]ボタンを押し、[全入力データを削除しますか?]の画面で[はい]をクリックし、デフォルトのデータを削除する。「○○家 一覧」の部分に、名字を入れます。
- データの入力は、[個票]タブで行います。① 名前、②続柄・性別を入力し、③ [保存] で保存する。通常の入力はこの箇所だけです。
- ④ [関係1]は、通常、自動で設定されますが、特定の系列を「本人」「跡取り」にする場合は、[本人]と設定する。同じ兄弟の中に[本人]が二人いるとエラーとなるので、その場合、一方を[兄弟1]などとする。
- ⑤ [項目2]は、氏名の読み方などを記入。家系図には表示されないが、マウスオーバーすると閲覧できる。[項目1]は、家系図に表示されるので、無記入とする。
- ⑥の欄は、「追加時カードを移動する」になっていることを確認。
- [保存]ボタンを押して、保存します。
- [家系図作成]ボタンをクリックして家系図を描画します。[家系図作成]ボタンは、[入力]、[個票]、[家系図]のいずれのシートにもあります。
- ここでの注意点は、[保存]ボタンを押し、さらに、画面右にある[家系図作成]ボタンを頻繁に押し、家系図を描画すること。「修正したはずなのに反映されない」というトラブルを回避できます。
ちょったした家系図を作っても、A4で6枚程度になります。1ページに縮小印刷すると、文字がつぶれて読めません。
このため、印刷して使うのであれば、生没年の欄は入力しない。写真は貼り付けないなどの工夫が必要となります。
上で示したデフォルトの磯野家家系図を見ると、各世代の階層の間に広いスペースがあります。これは、生没年月日を表示するために使われているのですが、印刷を考えると、このスペースが邪魔です。同様に、写真を表示するためのスペースも空いています。
しかし、印刷のことだけを考えるのであれば、印刷の時だけ、[入力]シートの生没年・項目のデータを消去してから家系図を再描画し、それを印刷するという方法も考えられます。たぶん、その方が良いでしょう。
そこで、余分な部分(罫線)を非表示にして、全体のサイズをコンパクトにします。
行全体を選択し、非表示にする方法が良いでしょう。
さらに、カギ状になった罫線をまっすぐなものにすることで、全体を小さくできます。要素間をつなぐラインは、図ではなく罫線で描かれているので、普通のエクセル捜査と同様に、罫線を消去したり追加したりできます。
こうしてできあがったのが「ネコ師家家系図」です。一番下の赤いラインが、今回結婚した従兄弟の子どもたちです。文字は小さくて読めませんが。
プログラムの改善余地
生没年の計算は、おおざっぱなので、仕事で使う場合は要注意です。
和暦元号、日付を入力すると、「西暦」が表示されますが、「和暦(太陰太陽暦)」に対応した西暦換算にはなっていません。
たとえば、明治3年12月1日は、西暦1871年1月21日なのですが、このシートでは「1870年」と表示されます。
古代、中世の家系図を作るとき、下のような機能があると便利です。シリウス暦に換算して計算するだけなので、簡単に作れそうです。
イメージとしては、下のような感じです。
そのためのエクセル、という気もします。ソフトの利用者が用途に応じてセルの間隔を変更すればよい訳で、プログラム側で対応するのは難しいかも知れません。
おわりに
家系図を作る目的は、単に、直系の先祖を知るというだけではなく、管理人のように、親戚の横のつながりを知る、さらには、歴史上の人物の家系を知る、など様々でしょう。
自分に合った家系図を作れば良いでしょう。
NHKドキュメンタリー 『ファミリーヒストリー』という番組では、有名人のルーツを辿るというユニークな内容になっており、「自分のルーツ」、「他人のルーツ」に関心を持たれた方も多いのではないでしょうか。
どんな家系でも、飛び抜けて優秀な人物が現れるかと思えば、どうしようもない人物も中にはいます。
自分で家系図を作ってみて感じたことは、分からない部分がかなりある、ということでした。このような記録は、代々受け継いでいかなければ、失われてしまいます。有名人でもない、一般人の家系図こそ、記録しておかないと、過去に遡って調べることが難しくなります。人間関係が希薄と言われる今の時代、家系図をゆっくり眺めながら、親類縁者と語り合う、そんな環境が必要なのかも知れません。
一系統の家系図は、まさに、自己満足の世界のような気がします。自分一人で生きてきたわけではないのに、周りの関係をほぼ切り捨てたような系図しか見ることができない。
血縁関係だけではなく、親友なども含めた、「人間関係図」を作るのも面白いかも知れません。
(未定稿ですがアップします)