以前からとても不思議だったことがあります。それはWindowsの「Fonts」フォルダのこと。
このフォルダはとても不思議です。
何が不思議かって? それは中身を観ることができないから。
「えっ? エクスプローラーで普通に見られるじゃん!」
本当にそうでしょうか。あなたは何を見ているのでしょうか。
見ているつもりなのに、本当は見ていなかった!
管理人が不思議に思うWindowsの[Fonts]フォルダ。 これについて、Windows10 を例に見ていくことにしましょう。
まず、瞞される、というか混乱させられることの一つが、「Fontsフォルダはエクスプローラーでは開けない」ということです。
エクスプローラーを起動し、C:\Windows\Fonts と辿っていくと [Fonts] フォルダにたどり着きます。そして、[Fonts] フォルダをクリックすると、その中身が見られる。
ここで大きな過ちを犯しています。Fontsフォルダをクリックした時点で、エクスプローラーは閉じ、別のページになっています。
「エクスプローラーで[Fonts]フォルダをクリックしたときに開くのは、エクスプローラーで表示されているのではなく、コントロールパネル⇒[Fonts]で開かれるページが開いている」ということです。
下のGIFアニメで確認してください。クリックすると綺麗に拡大表示します。
ここに大きな落とし穴があります。
通常の場合、エクスプローラーで閲覧できるのはフォルダの中身です。当然、エクスプローラーを使ってFontsフォルダを開いたら、その中身がエクスプローラーに表示されていると思いますよね。しかし、実際には、全く別のページに切り替わっているのです。したがって、Fontsフォルダの中身をエクスプローラーで閲覧しているわけではないのです。
でも、フォントのリストが表示されるけど、何が違うの?
ここがとても困った混乱を招く点なのです。
ただし、この方法では、右ペインは表示されない。
エクスプローラーで開いたつもりになっているページとは
繰り返しになりますが、エクスプローラーでFontsフォルダをクリックして開くのは、Fontsフォルダの中身ではありません。
Fontsフォルダの中にあるたくさんのファイルのうち、インストールされているフォントファイルだけが表示されます。
ここで、開いたページをよく見ると、「コンピュータにインストールされているフォントをプレビュー、削除、表示または非表示にします」と書かれています。
そうなのです。ここに表示されるのは、「コンピュータにインストールされているフォント」なのです。
つまり、インストールされていないフォントは表示されない!
フォルダの中のファイルとインストールとの関係
フォルダの中にフォントファイルがあるからといって、そのフォントを使える分けではありません。そのフォントがインストールされていなければ、フォントは使えないし、リストに表示もされない。
表示もされないのではインストールのしようがありません。Fontsフォルダの中にあるインストールしていないフォントファイルは、結局、使えないと言うことです。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。
フォントの入手とインストールの問題
通常、お好みのフォントを入手したとき、どうやってそれをコンピュータに入れますか?
フォントのインストーラを使ってインストールする方法が一般的でしょう。ところが、ダウンロードしたフォントをエクスプローラなどを使って、直接、Fontsフォルダに移動やコピーをするとインストールされていないファイルがFontsフォルダ内に入ります。
ここでの問題は、そのフォントファイルは、エクスプローラでは見ることができないと言うことです。Fontsフォルダに移動やコピーはできてもその閲覧はできない。あるのかないのかさえ分からない。
アンインストールとデリートは別物
インストールしていたソフトウエアを削除するとき、アンインストールを行います。その時、そのソフトのフォルダ・ファイルは根こそぎ削除されます。つまり、ソフトのアンインストール(Uninstall)とファイルの削除(Delete)は同じ意味と捉えています。
しかし、Fontsフォルダでは、フォントのアンインストールと削除は別物です。
たとえば、[AAA.ttf]というフォントをアンインストールしてもFontsフォルダの中には[AAA.ttf]というファイルは残ったままです。フォルダから削除するには、「削除(Delite)」する必要があります。
もうひとつ気づいたことがあります。それは、直接、Fontsフォルダにコピー(or移動)したフォントファイルの場合、これをインストールすると、[AAA_0.ttf]という別のコピーファイルが生成されます。フォルダの中には、、[AAA.ttf]と[AAA_0.ttf]の二つが存在することになります。
Fontsフォルダって不思議ですね。
Fontsフォルダを閲覧する方法
最初に、Fontsフォルダを閲覧する方法を紹介します。これができないと話が進まない。
Fontsフォルダ内を閲覧できるソフト(ファイラー)って、実は数が少ない! その理由は、多くのファイラーがエクスプローラーに依存するような設計がなされているからです。エクスプローラーでできないことは、これに依存しているファイラーでもできない。様々なファイラーを使って確認したのですが、全滅状態でした。
自分が使っているファイラーなら表示できてるけど・・、と思ったとしたら、フォルダ内のファイルの総数を数えてみてください。1100くらい? それでは全体は表示されていませんね。
管理人の環境では、Fontsフォルダ内のファイルの総数は、4500くらいです。
これを調べるために管理人が使ったのは、超高速ファイル検索ソフト「Everything」です。Vectorから入手可能です。
「Everything」を使って調べるには、次のようにすると手っ取り早いと思います。
- エクスプローラーなどで、C:\Windows\Fonts を表示
- [Fonts]フォルダ上で右クリック。表示されるコンテキストメニューの中から[Everthingで検索]を選択。
- これで、[Fonts]フォルダ内の全てのファイルが表示される。
Fontsフォルダの中身
Everythingを使って、Fontsフォルダの中身を全て閲覧することが可能となります。
すると、Fontsフォルダの中に別のFontsフォルダがあることが分かります。これを閲覧するには、Everythingのアドレス欄に \Fonts を追記します。
Fontsフォルダの中には、管理人のPC環境では4502個のファイルがあります。そして、Fontsフォルダ内にある同じ名前のFontsフォルダには2601個のファイルがあります。つまり、Fontsフォルダ内には合計で7103個のファイルが入っています。
一般のファイラーで表示できるFonts内のファイルは、(管理人のPC環境では)1100個程度です。また、Fonts内にあるFontsフォルダは閲覧できません。
Fonts内のFontsフォルダの中身が何なのかよく分かりません。管理人の想像では、フォントの歴史に関わる古いフォントファイルがもしもの時のためのバックアップとして入っているのではないかと思います。古いフォントにしか対応していないソフトでの表示のために。
このFonts内にあるFontsフォルダの中身をいじるのは怖いので、見なかったことにします(笑)。以下、これは無視します。
問題は、通常のファイラーで表示される1100個のフォントと、Everythingで表示される4502個との差3400個のファイルの存在です。
調べてみるとファイルの内訳は以下のようになっています。大量のファイルですが、種類は意外と少なく、ttf(TrueTypeフォント)が圧倒的に多い。
- 拡張子 .fon 448個
- 拡張子 .otf 499個
- 拡張子 .ttc 62個
- 拡張子 .ttf 3478個
- その他 15個
- 合計 4502個
Wordのフォント一覧に表示されないフォント
Wordでフォントを選ぼうとするときに困るのが、フォントリストの名前が空欄となり表示されないものや、フォント名の一部の文字が表示されないこと。
さて、なぜこのような表示になってしまうのでしょうか。あなたはその理由を考えたことがありますか?
赤枠で囲ったフォント名は、次のようになっています。黄色のマーカーの部分が表示されていません。
- 園児フォント
- chi毛筆風フォント
- 太甘書道
- 国鉄風フォントA
- g_丸かな体
- 瀬戸フォント-拡張
- ピグモ 00
- Koin変外明朝TF
- お子さまフォント
ここまで整理すれば、もう理由は分かりましたよね。えっ、分からない?
ぼーっ生きてんじゃエーよ!
ボーッと生きてきた管理人ですが、上のようにどの文字が表示されないかを観察しているとあることに気づきました。
それは、このような現象は「ひらがな」フォントに多く見られること。
ふと、unicodeの配置が原因か? と気づきました。
管理人がたどり着いた真相はこうです。
- Wordのフォントリストは、そのフォントを使ってフォント名を表示する仕様になっている。
- ひらがなフォントの場合、漢字に対応していないものがほとんど。フォント名に漢字を使うと、その漢字に対応するunicodeが空欄のため、空白が表示される。
- 表示させるための対策としては、非表示の文字に該当するunicodeにその文字を書き込む。これは、素人には難しい。
- Officeのフォントリスト表示がこのような仕様になっているのであれば、フォントを作る側がフォント名を付けるときに配慮すべきこと。ひらがなフォントはひらがなだけでフォント名にするとか。
このように説明されると、なるほどと納得できると思います。しかし、このようなことはネット上のどこにも書かれていません。
未インストールフォントをインストールする方法
パソコンに入れたはずのフォントがWordなどのフォントリストに表示されない。その理由は、フォントがインストールされていないから。
これをインストールするとリストに表示されるようになります。
ところで、上で書いたように、「Fontsフォルダ内のインストールされていないフォントはファイラーでは見ることができず、そもそも存在するのかさえ確認できない。」
これを確認できるのは、管理人が知っている限りでは、「Everything」と「dp4 Font Viewer」、「AMP Font Viewer」だけです。
「Everything」については既に説明しているので、「dp4 Font Viewer」のことを簡単に説明します。
最強のフォントビューア「dp4 Font Viewer」
フォントビューアはいくつかありますが、ファイラーと同様、Windowsのエクスプローラーに依存しているため、Fontフォルダの中身の閲覧に関しては、その機能が不十分と言えます。
ところが、「dp4 Font Viewer」というフォントビューアはとても優れた特徴を持っています。Fontフォルダ内のインストールされていないフォントファイルも表示可能で、それをクリックすればインストールすることもできます。
このソフトは、「dp4 Font Viewer」から無料でダウンロードできます。ファイルは[dp4FontViewer64.exe]だけのシンプルなソフトで、インストールの必要がなく、スタンドアローンで動きます。
「dp4 Font Viewer」の優れたビューア機能
フォントビューアってどれでも同じと感じている人もいるかも知れません。
しかし、実際はとても困った現象が発生しています。フォントビューアとしての本来の機能を果たしていないのです。
下の画像をご覧ください。フォントビューアとして定評のある「NexusFont」の表示画面です。サンプル文字列『帅嘤嘤なんでも保管庫12345 ab This is Harry 』が綺麗に表示されていますね。でも、これは嘘っぱち! でたらめです。
サンプルに使った『帅嘤嘤』という文字。これを表示できるフォントはとても限られています。試しに、Wordにコピーペしてみてください。表示されますか?
管理人のWordの環境では、フォント名「SimSun」で表示できます。しかし、他のフォントでは表示できません。他のフォントに変更しようとしても、常に「SimSun」が適用され、フォントの変更ができません。
「NexusFont」のリスト表示で困る点はここにあります。つまり、そのフォントで表示できるかどうかがリストを見ても分からないのです。これもWindowsの機能に依存した仕様となっているフォントビューアの致命的な欠陥です。
フォントビューアなのに、そのフォントを表示していないのですからお話になりません。
フォントビューアなら、表示できない文字は空欄になってもらわないと困ります。どの文字が他のフォントを使って表示されているのかなどリストを見ても分かりません。
ところが、「dp4 Font Viewer」ならこの当たり前のことができます。
たとえば、「帅嘤嘤」を表示できるフォントは、以下のフォント及びそのファミリーです。
「dp4 Font Viewer」には様々なフィルタがあるので、使い方を覚えれば、かなり役立ちます。
下の画像は「帅嘤嘤」という文字列のみサンプルとして表示、ひらがな・かたかなフィルタで、表示できるフォントをリスト化したものです。こんなこともできますという一つの事例です。
「AMP Font Viewer」でも未インストールフォントの確認はできるけど
最後に、「AMP Font Viewer」というフォントビューアについて書きます。
このソフトは、未インストールフォントの一覧を表示することが可能です。
そして、画面左下の「インストール」をクリックすると・・・、エラーが出てインストールできません(涙)。しかし、同じ未インストールのフォントを「dp4 Font Viewer」でインストールすると、インストールできます。
「AMP Font Viewer」のビュー機能は優れていて見やすいと思うのですが、「dp4 Font Viewer」と比較すると、全ての機能が見劣りします。
「dp4 Font Viewer」の実際の使い方
「dp4 Font Viewer」は次のような手順で使うと便利だと思います。
カタカナの字体を探している場合を事例として説明します。
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- 「dp4 Font Viewer」を起動する。画面が開くと、自動で[Fonts]内のフォントリストが表示される。もし表示されないときは、下の画像の赤枠部分をクリック。
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- 画面右下の [Compare] タブを選択。[Sampletext] に検索したい字種(今回はカタカナ)で文字を入力。
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- 画面左下の(a) [Unicode filter] タブを選択。 (b) その直ぐ下にある [Font shall contain these ranges:] にチェックを入れる。 (c) リストの中から [Katakana] を選択。
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- これで、リストにカタカナのフォント一覧が表示される。このリストを順次クリックしていくと、右画面にフォントのサンプルが表示される。気に入ったフォントを見つける。ここでは、[amemuchigothicmono-B] というフォントが気に入った。
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- 次に、このフォントの「Unique font identifier」を調べる。これがWordのフォント窓に表示される名称。右画面下部の [Info] タブをクリックすると、 [Information Windows] が開く。その下側にある「Unique font identifier」のフォント名をコピーする。(このコピーがうまく反応しにくい)
- 後は、Wordのフォント窓にペーストすると、目的のフォントで表示される。
- この時、「現在選択されているプリンターで使用できません。設定を続けますか?」というメッセージが表示されたら、フォントがインストールされていない。印刷とは無関係なのにこんなメッセージが表示される「困ったちゃん」。その場合は、「dp4FontViewer」に戻り、[Font] ⇒ [Install] でフォントをインストールする。それでも表示されない場合は諦める。
以上で、今回の記事は終了です。
上で記載したフォントビューアの問題に気づいたのは最近のこと。
フォントビューアって、カタログ販売のカタログに似ています。リスト一覧で表示されている字体を選び、そのフォントをWordなどのリストから選ぶ。ところが、実際にはその字体には対応していないフォントだった! こんな詐欺のようなカタログってありますか? 無駄な作業をさせられたという失望感を感じます。