2010年に台湾で発生した衝撃の地すべり事故に震えが止まらない

ミステリー

 2010年4月25日に台湾で発生した地すべり事故の画像がすさまじい!

 こんな大規模地すべりがあったとは知りませんでした。管理人はこの時期、日本にいなかった。


Image: watson

 この地すべりが発生したのは、2010年4月25日、午後2時29分頃のこと。場所は、台湾の首都・台北(タイペイ)市の北東約25km にある基隆(キールン)市近郊です。

 台湾を縦断する高速道路「フォルモサ高速公路(国道3号)」の(台北から北東に)3.1km地点の道路脇の山が突然崩れ、これに巻込まれた車に乗っていた4人が死亡しました。

 地すべりは幅約60メートル、長さ約200メートにわたり高速道路の上下線すべてを土砂で覆い尽しました。

 台湾の「フォルモサ高速公路(国道3号)」のルートは下の図のようになっています。


  Image: Wikipedia

 なんでここでフォルモサというスペイン語(ポルトガル語)が出てくるんだろう? そう言えば、台湾はポルトガルが見つけた島なので納得。台湾のことをフォルモサと呼ぶそうです。詳しくは過去記事『江戸時代の漂流記「尾張者異國漂流物語」の「宝登山島」の謎に迫る』 参照。

 事故が起きた場所を知りたい。馬東インターチェンジの南約700メートル付近らしい。

 そこで、Google Earthを使って地すべり現場を特定します。すると、下の位置になります。海の近くですね。

 地すべり発生以前の衛星写真(2010年1月14日)

 地すべり発生後の衛星写真(2010年12月12日)

 ちなみに、復旧工事が完了し、双方向の車線が通れるようになったのは6月1日のようです。一ヵ月ちょっとで復旧できたのは、場所がよかったからでしょう。周囲にはたくさんの道路があります。工事用車両が入るのが楽だったのでしょう。

 崩落した土石の量は218,900立方メートル。

 日本ならもっと早く復旧できたかというと、何とも言えません。それは、原因が単なる土砂崩れではなく、「大規模地すべり」だからです。山が落着くかどうかは地下水位にかかっています。その計測には時間がかかります。

 事故現場の状況をYouTubeで確認すると、山を切って道路を通したようです。画像からは高い山には見えないのですが、動画を見るとほどほどの高さがあります。

 台湾は、脆弱な地質の場所が多くあり、国土全体の到るところで地すべりが発生するようです。

 下の動画は、台湾南部、屏東県来義郷で発生した大規模地すべりの状況です。見ているだけで恐ろしい。この地すべりは、2013年9月1日に発生しました。これは、8月27日に発生した台風15号(コンレイ)の影響で、台湾に大雨をもたらしたのが原因のようです。なお、来義郷村は2009年モラコット台風災害でかなりの被害を被りますが、翌2010年の台風15号でも甚大な被害を受けました。


 ”Massive landslide in Taiwan caught on camera – Truthloader”

 高速道路の地すべりの当日は、比較的良い天気で、地すべりが起きるなど誰も予想していませんでした。もちろん、地震もありません。

 この時の地すべりは、層理面沿いの流れ盤岩盤地すべりのようです。崩れた切土斜面には「グラウンドアンカー工」が施工されていましたが、これでは抑えきれなかったか、あるいは、アンカーが腐食して切れたのかも。

 どのような法面修復が行われたのかは分りませんが、地山にはたくさんの水抜き井戸が掘られたと思います。山が動くと後が大変。山と呼ぶほど高い山ではないので、山ごと取除くのが結局は工事費・その後の監視費用が安くなり、正解かも。そもそも、こんな低い山がなぜ崩れ、広範囲に高速道路を覆ったのかが、管理人には理解できない。管理人なら安息角より上の部分はすべて取除きます。

 4人の人命を奪った地すべり事故。このような事故は二度と起きて欲しくないものです。

 こんなものを作ってみました。事故の後、復旧するのではなく、亡くなった4人の御霊を慰めるため、巡礼の遊歩道を建設する、というアイディアもあり?