毎年、ドクダミの繁茂で困っているけれど、枯らすのはかわいそう|除虫剤とお茶にしました

生活編

 [冒頭注]

 この記事は6月に書き始めたのですが、時期がずれてしまうのでアップします。

 毎年、家の周りにはドクダミが恐ろしい勢いで繁茂します。時々、根ごと引き抜くのですが、地下茎で繋がっているため、毎年しっかり生えてきます。

 家の周囲は3面がドクダミに侵略されました。秋から冬にかけてドクダミの地下茎を抜いたり切断したのですが、その効果は感じられません。ドクダミの繁殖力には驚くばかりです。

 今、ちょうどドクダミの開花時期なので、ドクダミの花もいいものだと思います。でも、放置すると、ご近所から苦情が来そうなので駆除することにしました。(この記述は6月のもの。)

 駆除すると言っても、我が家には除草剤を使うという選択肢はありません。奥様が化学薬品が大嫌いなので。調べてみると、重曹で駆除できるようですが、ライターの記事ばかり目立ち、実際に駆除したライターの記事は見かけません。やってみれば分かりますが、この方法は絵に描いた餅の典型的な事例でしょう。だから、この方法をやった人の実例がないのです。

 ネットで見つけたネタを記事にしているだけのようで、情報の信頼性に疑問があるのですが、一応やってみることにしました。

 その前に、せっかく生えたドクダミを使わない手はない! 貴重なバイオマスです。畑があれば、すき込むのですが、我が家の庭にはそんなスペースはありません。

 そこで、ドクダミ茶と除虫剤・かゆみ止めを作ることにしました。

ネットで探してもドクダミの効能がサッパリ分かりません

 ドクダミが、防虫剤やかゆみ止めに使えるとか、ドクダミ茶になるということはネットで探せばすぐに分かります。ところが、ネットの情報はいい加減、不正確、デタラメ、憶測、アクセス稼ぎ、という内容に満ちあふれていて、読むのがいやになります。

 管理人が知りたいことは、他人の書いた記事をコピーペするだけの情報ではなく、正しい効能です。

 そう感じるのは、ドクダミには防虫効果はない、と実感するからです。我が家でドクダミが大量発生しているのは、家の東西北面の隣家とブロック塀で接する所です。ここに行こうものなら、蚊に刺されて大変。ドクダミを傷つけると匂い成分が発散されますが、蚊には無効です。ドクダミを引き抜き、辺り一面、ドクダミの匂いで満たされても、蚊の攻撃は変わりません。ということで、ドクダミという植物が蚊の発生を抑えるという効果はない、と確信しています。

 次に効能です。

 『ドクダミ茶の有効成分分析と製茶法の検討』という徳島県立保険製薬環境センターの年報があります。その要旨には次のように書かれています。 

ドクダミは, 花期の地上部を乾燥させたものを「ジュウ ヤク」という生薬として用いられ, 利尿 や消炎作用のある医薬品として利用されてきたほか, 健康茶としても利用 されてきた。ドクダミは、花期以外にも収穫することができ、主にお茶として利用されるが、その成分分析等は実施されていない。そこで本研究は、花期以外のドクダミについて、ドクダミ茶の有効成分分析 を行うとともに品質の高い製茶法について検討した。ドクダミの主な成分であるフラボノイド配糖体について、30分間煮沸した場合の溶出量と比較して、100℃で数分浸漬させるだけでも 80%以上の溶出量が認められた。一方で、乾燥方法の違いによる有効成分含有量に違いは見られなかった。また、ドクダミ茶の有効成分の含有量は、収穫時期による差は認められなかったが、フラボノイド配糖体は、日照時間の影響を受けることが示唆された。

『ドクダミ茶の有効成分分析と製茶法の検討』、徳島県立保険製薬環境センター年報、徳保薬環セ年報 No.10 13-19、2020

 この記述で有益と感じるのは、煮沸時間の比較をしていることです。ドクダミ茶を煮出すには、長時間煮る必要はないことが科学的に検証されています。

かゆみ止めとしてのドクダミの効果 

 ドクダミをアルコールに漬けたエキスがかゆみ止めに効果がある、とコピーペライターが書いていますが、本当でしょうか。

 結論を先に書くと、効果は全く感じません。効果を全く感じないのです。

 ドクダミ葉を「ホワイトリカー35度を蒸留して50度以上にしたアルコール」に漬けて抽出したエキスを使ったのですが、かゆみ止め効果は全く感じられない。効果ゼロと評価するのが正しいと思います。

 管理人は、普段、「ウナコーワクール」というかゆみ止めを使っていますが、この効果を80とするなら、ドクダミエキスの効果は「ゼロ」です。全く効果を感じないのです。高濃縮したホワイトリカーを使っているので、最低でも清涼感を期待したのですが、期待外れでした。

 何で高濃縮ホワイトリカーがあるのかと不思議に思った方は、過去記事「消毒用アルコールが入手できないのでホワイトリカーを精製して自分で作ってみた!」をご覧下さい。蒸留過程が分かります。

ドクダミ茶は効果があるのか

 ドクダミ茶はいくつかの効能が知られています。その一つに利尿作用があります。オシッコに行く回数が増えるかどうかなので、すぐに効果を判別できます。

 陰干ししたドクダミをお茶にして飲んでみました。すると、何と言うことでしょう。何の効果も感じません。利尿作用があるとはとても実感できない。商品として購入したのなら、返品したいレベルです。

 管理人の実感としては、ドクダミ茶の利尿効果はほぼゼロということです。

 実は、管理人は、昔に比べオシッコの回数が減っていると実感しています。これは尿酸を排出できず通風の原因になるので、オシッコの回数を増やしたいと思っていました。しかし、ドクダミ茶を飲んでも効果は全く感じられません。

 ドクダミ茶の効能は利尿作用だけではありません。血液をきれいにしたり、胃腸病や高血圧を予防する効果があるそうです。しかし、これを確認するのは難しい。気長に飲んで、気づいたら、胃腸の調子もいいし、血圧も下がった、というケースしか効能の確認はできない気がします。

 ドクダミ茶の味は、例のドクダミの匂いがすることもなく、かなり飲みやすい。薬草茶の中でも美味しい部類に入ると思います。

効能を紹介するのなら自分で試すのが当たり前なのでは?

 ネットで見かけるライター記事にはうんざりします。ネットで見つけた情報を字面でつなげて記事にしているのですから、その信頼性は皆無です。最低でも、閲覧したサイトと情報の信頼性、出典の有無とその妥当性を踏まえて書くのがライターの努めだと思うのですが、今のネット記事はアクセス稼ぎが目的化しているため、記事の中身などどうでも良いようです。

 漢方として使われる薬草に現代医薬品のような即効性のあるものはほぼ皆無です。それを理解していても、管理人はドクダミの効果には懐疑的になりました。

 詳しくは後日書きます。時期が過ぎてしまうので、とりあえず(いつものように)、このバージョンでアップします。写真も後日アップします。元々は、徳川吉宗関連で書き始めた記事です。薬草オタクだった吉宗、と記事は続きます。

徳川吉宗

 2023年3月1日、NHK BSプレミアムで放映の『英雄たちの選択 「“好奇心将軍”徳川吉宗が挑んだ日本再生」』で興味深い内容がありました。

 それは、薬草の国内生産に尽力したということでした。

 逼迫する幕府財政を立て直す一環として、膨大な金銀が流出している中国からの薬草・生薬輸入に着目し、これを国内で生産できないものかと吉宗は考えました。

 番組ホームページには次のように書かれています。 

江戸中期、それまで輸入に頼っていた「ある薬草」の国産化に挑み、10年以上かけて困難なプロジェクトを成功に導いた将軍がいた。名君・徳川吉宗の知られざる活躍に迫る!

江戸幕府八代将軍・徳川吉宗。享保の改革で財政を立て直した“米将軍”として知られるが、彼が情熱を注いだもう一つの改革があった。自ら選び抜いたメンバーを人里離れた山や谷へと送り、「薬草」を求めて、日本中を徹底調査!70種以上の薬草を見つけ出し、幕府による大規模栽培を行った。吉宗の持ち前の好奇心が生んだ、医療改革の国家プロジェクト。それは、やがて国を支える産業にまで成長する。吉宗の知られざる功績に迫る!

NHK, HP

 まあ、番組の中身はHPの通りなのですが、管理人が着目したのはドクダミでした。

 ドクダミ、ゲンノショウコ、センブリは日本古来から使われてきた薬草、とどの辞書にも書かれていますが、それは違うようです。「日本古来」ではなく、「古来よりある特定の地域で」使われてきた薬草だったのです。意味が全然違いますよね。

 これを見つけ出したのが吉宗が日本中に派遣したお庭番、いや、紀州藩から連れてきた優秀な人たち。彼らが元から本草学や蘭学など専門分野に特化した知識を持っていたわけではなく、将軍の命令で勉強して専門家になったようです。

 日本中をくまなく歩き回り、翻訳した薬草図鑑と照らし合わせ、日本に自生する薬草を確認。その数が70種以上ということです。

 日本に自生する薬草は、特定の地域では薬効が知られていましたが、それが日本レベルで知られるようになったのは吉宗の功績でしょう。

 ところで、ドクダミは日本に自生していましたが、漢方薬として輸入されていたドクダミは別の種類でした。ドクダミには二種類あるのです。一般的なドクダミとツルドクダミの二種類です。

 名前は似ていますが、似て非なるもの。

 一般的によく見かけるドクダミは、北海道北部を除く日本全国に自生するドクダミ科ドクダミ属(一属一種)の多年草です。日本中、日陰であれば至るところに群生しています。

 一方、ツルドクダミは、中国を原産とするタデ科ソバカズラ属の多年草です。日本におけるその起源は、吉宗が中国から取り寄せ、1720年に栽培を命じたことでした。それが野生化し、現在は本州から沖縄まで生育している帰化植物となっています。これは、ドクダミ特有の匂いはありません。全く別の植物なのですが、葉の形状はとてもよく似ています。

 つまり、吉宗の薬草として考えるのなら、ドクダミではなく、ツルドクダミであるようです。どちらも薬効があり、漢方薬として使われています。