ダヴィンチの暗号:組み絵仮説、振り出しに戻る!

古代の謎・歴史ヒストリー

ダヴィンチの暗号について、これまでに二つの記事を書きました。

これまでの記事

最初の記事では、ダヴィンチが持ち続けた三枚の絵(『モナリザ』『聖アンナと聖母子』『洗礼者聖ヨハネ』)の配置を検討しました。このとき、『モナリザ』と『聖アンナと聖母子』を横に並べた時に二つの絵をつなぐ「鍵」を絵の中から見つけることに成功しました。

ダヴィンチの暗号:生涯持ち続けた三枚の絵は組み絵だった!?

二つ目の記事では、『洗礼者聖ヨハネ』の配置を考えました。この時は、『洗礼者聖ヨハネ』を『聖アンナと聖母子』の中に配置することで、あるラインが見えてくることを確認し、『聖アンナと聖母子』に描かれているのは、イエスとマリア、そして彼らの子供の三人であるという結論に至りました。

レオナルド・ダ・ヴィンチの組絵とその謎の解明

検討手順にミスがありました

ところがです。作業の過程で気になっていたことがありました。それは「切りしろ」についてです。

レオナルドが終生保持していた三枚の絵が実は三枚で一つの絵になる『組絵』だったという仮説を検証するためには、三枚の絵の正確なサイズが必要でした。これについては公開されているのでその数値で絵の画像を調整し、配置を考えました。

                  絵画名                  寸 法             制作年(推定)
 モナ・リザ   77 cm x 53 cm  1503年 – 1517年
 聖アンナと聖母子  168cm x 112 cm  1508年 – 1510年
 洗礼者聖ヨハネ   69 cm x 57 cm  1513年 – 1516年

作業途中で気になっていたこととは、この画像サイズの調整の過程で、縮尺がうまく合わなかったことです。それでも無理矢理合わせたのですが、やはり気になります。

そこで、入手可能な三枚の絵の”画像の寸法”と実物の寸法を比例計算で比較してみました。すると全く合わない!

そうなのです。ネット上で公開されている画像は、額縁の内側の見える部分だけなのです。額縁で隠されている『縁の部分』は分からないのです。実寸法は絵画全体の寸法なので、画像寸法とは異なります。普段はそれでも何ら問題が無いのですが、今回のように、絵の配置を検討する場合、実寸法で比較しないと意味がなくなります。

調べた結果は以下のようになりました。 ネット上にある画像で最も広い範囲が写っているもので比較した結果です。縦か横のどちらかを固定し、短い方を表示しています。

画像は、実物のサイズよりも、
聖アンナと聖母子: 縦が20.0cm 短い
洗礼者聖ヨハネ: 横が5.9cm 短い
モナ・リザ: 横が1.4cm 短い

意外だったのが、『聖アンナと聖母子』で、20cmも縦方向が切り取られた画像になっていることです。また、洗礼者聖ヨハネは横方向が5.9cm切り取られた画像になっています。

額縁で覆われた部分の絵は変色しているため、画像ではトリミングされ、それが出回っているのだと思います。
三枚の絵画の画像でカットされている部分を示すと下の赤の部分ようになります。


 Photo: ⒸNekoshi

カットされている部分は、便宜上、絵の左右または上下に均等に割り振っていますが、実際はどちらか片方に偏っていることも考えられます。

なぜ、『聖アンナと聖母子』の画像は大きく切り取られているのか

特に気になるのは『聖アンナと聖母子』のカットされている範囲が大きいこと。通常のトリミングの範囲を超えたカット量です。額縁で隠れる範囲よりももっと大きくカットされています。

もしかしたら、一般人には見せられない何かが描かれていたのでしょうか。かなり怪しい。
いずれにしても、公開されている絵の写真が、絵の全体の姿を撮したものだという錯覚に陥っていたことは確かです。