イレーヌを観に『ビュールレ・コレクション、至上の印象派展』に行く

ミステリー

 本サイトでは、これまでイレーヌについての記事を2本書いています。

 『絵画界の謎:ルノワールの絵画「イレーヌ嬢」は英語圏では誰も知らない

 『ルノワールの絵画「イレーヌ嬢」のモデル、本物のイレーヌ高画質写真
 
 イレーヌの肖像画は、現在日本に来ており、国立新美術館で5月7日まで開催中の『ビュールレ・コレクション、至上の印象派展』で展示されています。展示会の開催期間が5月7日までと残り少なくなってきたので、重い腰を上げて六本木まで行ってきました。

 今後、2020年開館予定のチューリヒ美術館の新館が完成するまで、この絵を見たいと思ってもみることができない。

 どれだけ混んでいるのか心配していたのですが、思ったほどの混みようではない。

 チケット売り場に並んでいるのは10人ほど。

 会場入り口には誰も並んでおらず、すぐに中に入ることができます。

 ところが、入り口の奥の方に長蛇の行列が。

 この行列は、出口の所にある売店で買うために、レジに並ぶ人たちです。売店の周辺だけでは収まりきれず、ホールまで長蛇の列になっています。面白い光景を見てしまった。

 会場の中は、ほどほどの混みようで、たくさんの人がいました。

 管理人は、印象派の絵画には興味がないので、イレーヌの肖像の所にまっすぐ向かいます。

 内部は写真撮影禁止なので、以降の写真は管理人が勝手にイメージして作ったコラですので念のため。

 奥に進むと、そこには巨大な肖像画が・・、なわけない。

 ミュシャ展の時に撮影した写真を合成しました。

 さすがにイレーヌの肖像画は人気があり、いつも黒山の人だかりです。ミュシャの絵画のように巨大だと後ろからでも見えるのですが、この肖像画は小さいので、前に行かなければ見られない。

 左から右に移動しながら見るのですが、じっくり見ることができない。

 そこで、4回、列に並び直して観ました。このために、他の絵を見ずにまっすぐここに来たので、体力は十分残っています(笑)。

 イレーヌの肖像画を見て感じたことは、絵のサイズが思っていたよりも大きいこと、色合いが全体的に明るいこと、首元にあるのはペンダントのようで、白い絵の具がとても厚く塗られていること、などなど。

 実物は、写真で見るのとでは全然違います。実物はとてもきれいです。この肖像画は、事前に写真を見て、細部まで確認していたのですが、写真では写らないこともあるんだと改めて思いました。

 ビュールレがこの肖像画を買ったとき、イレーヌ本人から買ったのですが、その来歴を知っていたかどうかは不明です、というとぼけたことを書いている人がいます。

 ビュールレが絵を買うときは、その来歴を調べるのは当たり前のこと。贋作の恐れがあるからです。このため、ビュールレは、当然、この絵の持ち主だったイレーヌの娘がアウシュビッツに送られる途中で亡くなったことも知っていたはずです。

 また、ナチスが奪ったこの絵画をゲーリングが所蔵していたことも調べていたはずです。ビュールレが、この程度の来歴調査ができないコレクターだったとしたら、ビュールレ・コレクションなどできるわけがない。

 学芸員の人たちは、ビュールレのことを悪く書くわけにはいかないため、当たり障りのないような記述をしています。

 会場で、ビュールレ・コレクションの動画が流されているのですが、管理人にはとても違和感を覚えました。

 イレーヌの娘家族全員をアウシュビッツに送り、死に追いやったドイツ。戦争の両陣営に武器を売り、巨万の富を築いたドイツ生まれのビュールレ。コレクションが偉大だ、という動画は、確かにその通りなのですが。

 今回の展示は残すところあとわずかです。ぜひ、足を運ばれたら良いと思います。