話題になった「亡くなった叔父さんの日記」暗号の解読方法を調べる

「亡くなった叔父さんの日記」の暗号とは

 2014年11月23日、「亡くなった親戚の叔父さんの日記が全然解読できない!」というツイッターが投稿されました。亡くなった叔父さんの日記が暗号で書かれているため、何が書かれているのか解読したい、と考えての投稿のようです。

 この暗号で記された日記をわずか4時間で解読してしまった驚くべきネット解読班の人たち。これには驚きました。

 調べてみると、11月19日にアミラさん(twitter @xamilax)という方が「亡くなった親戚の叔父さんの日記が全然解読できない!」とTwitterに投稿したことで暗号解読民に火が付いたようです。

 暗号大好きなネット民により暗号が解読されるのですが、驚くべき事は、この暗号は二種類の暗号が使われていたこと。それを短時間で解読したのですから、驚くほかありません。世の中には頭の柔らかい人がいるものだとつくづく感じます。そして、知識と知恵が集まったときの爆発力を感じます。

 前々から気になっていたこの出来事ですが、改めて調べてみました。ネット上には、5分で書けるような記事しか見当たりません。

 実際にはどうやって解読したのか。”叔父さん”がどうやって暗号を作ったのかが気になります。暗号の全体像を知りたい。

 この話題自体は、解読が終了した時点で終わっているので、解読した方法がいまいち理解できない。

 そこで、実際にやってみることにします。

 実際の解読作業は、各語の頻出度などにより暗号化の方式を推定し、最終的に和文モールス信号のトンとツーを入れ替える方式『モールス反転方式』、さらに、後半部分には別の暗号が使われていると推測し『いろは歌方式』であることを突き止めます。

『モールス反転方式』とは

 暗号に使われた『モールス反転方式』とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

 「和文モールス信号のトンとツーを入れ替える方式」とあります。暗号文と復号文が同じ文字数なので、モールス符号のトン・ツーに対応する文字と、これを逆にした時の文字との置き換えということのようです。

 これを表にすると次のようになります。

 「モ」と「ス」については、対応するコードがないので、「モ ⇒ ー」、「ス ⇒ す」、とします。

 この表を作っていて感じたのは、解読した人も凄いけれど、この暗号を考えた”叔父さん”も凄い、ということです。モールス符号がこのように置き換えができるなど誰も気がつかないと思います。驚くべき配列ということでしょう。まるで「いろは歌」のようです。

 そして、日記の後半に使われている暗号がこの「いろは歌」です。何となく、”叔父さん”の気持ちに近づいてきました。

 ただ、「いろは歌」を使った暗号自体はよく見かける手法なので、暗号としては暗号強度は低いでしょう。

『いろは歌方式』とは

 次に、日記の後半に使われている暗号。それが『いろは歌方式』です。

 これはとても単純なつくりになっています。いろは歌の順番を一文字シフトさせるやり方です。シーザー暗号のいろは歌版という感じです。


 

暗号復号文をエクセルでつくる

 ついでに、エクセルを使って、復号文を自動で生成するようにしてみます。

 まずは、モールス符号反転方式暗号の自動復号文作成シート。

 次が、いろは歌シーザー暗号1文字シフト版の自動復号文作成シート。

せっかくつくったので、おすそ分けします。いろいろいじってみると面白いと思います。式を入れ替えれば、平文から暗号作成ができます。

 『叔父さんの日記の暗号.xlsx

 ダウンロードパスワード neko2019

なぜ、”叔父さん”は暗号で日記を書いたのだろう?

 余計なお世話ですが、なぜ、”叔父さん”は暗号で日記を書いたのかが気になります。

 日記の日付は、1995年と1996年の1月のもの。年が変わり、暗号方式も変えています。

 なぜ、暗号方式を変えたのでしょうか。いろは歌暗号方式は暗号強度がとても低く、直ぐに解読されてしまいます。それに比べ、モールス符号反転方式は、ちょっと気づかない方式なのではないでしょうか。

 不思議なことに、変更した「いろは歌暗号方式」の方の日記に変換ミスが目立ちます。

 1995年頃はパソコンが急速に進化していった時期です。管理人は、1991年頃からExcelやロータス1-2-3を使っているので、1995年当時はExcelは普通に使えていたと思います。暗号をつくろうとすると、どうしても復号がセットになります。復号に時間がかかっているのでは暗号で書く意味が薄れます。このため、”叔父さん”はExcelで暗号作成・復号という作業を考えていたのではないかと推測しました。

 もしそうだとすると、なぜ、変換ミスがあるのか。これが疑問です。

 日記を書くときは、暗号変換表を使って書いていたということでしょうか。

 なぜ”叔父さん”は、暗号で日記を書いたのでしょうか。なぜ、暗号方式を途中で変更したのでしょうか。

 ん~~~ん。さっぱり分からん! 

 分からない理由は、この二つの暗号方式は、暗号強度が低いということです。シーザー暗号は、もっと複雑にすることも可能ですし、モールス符号反転方式も同様です。

 たとえば、下の図。これは皇女和宮の暗号を解読するために試行錯誤していたときに使っていたExcelシートです。

 和歌の下の句をキーとして、いろは歌の語順を並べ替えるプログラムです。

 この場合、キーが何なのかが分からないと暗号を解読することはかなり難しいと思います。

 このように、もし本当に秘密にしたい日記なら、もっと暗号強度の強い暗号方式で書かれるはずです。それなのに、「いろは歌」に変更しているとは・・。

 復号した日記を読むと、たいした内容は書かれていません。むしろ、日記としても不自然なくらい内容のないものになっています。

 これって、もしかしたら、解読できたと思わせるダミーなのでは? 本当の暗号は、次のステップの解読作業をすることで明らかになる。「変換間違い」と思っていた部分は、キーになっており、このキーを使って、暗号文、あるいは復号文のさらなる並び替えを行う。並び替えは魔方陣を用いる。その次元数はキーに書かれている。

 この暗号文は、キーを隠す目的で書かれたもので、暗号が解読されることは承知の上のこと。問題のキーは、変換ミスと思われる部分。さて、このキーをどこに使うのか・・・。それはキーが示す場所。

 日記の全文が公開されていないので、何とも言えません。

 これだと、かなり面白い解読になりますね。管理人はやりませんが。

参考
 ”【ネットのちから】亡くなった叔父さんの日記が暗号で書かれてて読めないけど誰か!?→解読完了!#叔父日記暗号

 ” Twitter有志が暗号を4時間で解読・・・暗号文『亡くなった叔父の日記』

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