物干し竿のような刀を構える女性の写真は本物か

こだわってみる

 以前から気になっていた写真があります。それがこの写真。

 この刀を構える中年の道着姿の女性。この道着を見ると、合気道あたりをやられている方ではないでしょうか。畳の上で行う古武道の種類は限られています。刀を使う武術は、通常は板の間です。

 最初この写真を見たとき、フェイクに決まっている、と思ったのですが。いろいろ調べてみても、真贋が分からない。かなりの時間調べたのですが、本物かもしれない、と思うようになりました。

 その理由をまとめると次のようになります。

  1. 写真の構図が、刀を全て撮すためのかなり広い範囲を撮しています。広角レンズを使っており、構図自体に無理がないこと。天井と床がこのように写るように撮ることは通常のレンズでは不可能です。
  2. もし、加工したとしたら、刀の画像を貼り付けたことになりますが、その痕跡は全く確認できません。
  3. さらに、刀には波紋がはっきりと見て取れます。波紋の状態に違和感は感じません。このような画質の高い刀の写真はなかなか見つからない、というか、ほとんどありません。このため、逆に、本物のように思えてきます。
  4. 刀の向きが自然です。コラージュしようとすると、刀の写真を探し、それを長くする修正・加工をすることになりますが、そもそも、この角度の刀の写真を見つけることは絶望的です。
  5. ネット上で、この写真が初めて公開されたのは、2016年12月16日、Imgurにおいてです。外国人が公開したもので、説明や出典についての情報は一切ありません。この日付より古い写真も類似写真も確認できません。ましてや、長い刀を持っていない写真も確認できません。

 以上から、管理人は、この写真はフェイクではなく、本物ではないかと思っています。

 ただ、一つ気になる点があります。それは、 刀を持つ左手が異様に大きいこと 。通常は、この点からフェイク画像と考えたくなるのですが、上で示したように本物と考えざるを得ない。画質によりこのように見えることもあります。

 外国サイトで初めて公開された写真ということも気になりました。外国人が加工した可能性があります。ロシアのフェイク画像をつくるグループの作品はずば抜けて秀逸なものが多いので要注意です。しかし、この場合、オリジナルの写真を日本のサイトで見つけることができます。ところが、いくら探してもオリジナルが見つからない。

 上の写真は管理人が高解像度処理をしたもので、ネット上の画像の中で最も綺麗に仕上がっていると思います。

 フェイクかも知れない。どうしても疑惑は拭いきれない。そこで、実際に作ってみます。

 刀の部分を別の刀に入れ替えてみました。管理人が最も疑問に思ったのが刀の画質だったので。

 刀身が抜けちゃった、という画像にしてみました。

 刀の部分は、思った通り、刀の画像がうまく表示できません。

 やはり、これは本物の写真なのではないかと思います。

 もし、本物だとすると、この刀は何なんだ!

 日本刀の長い刀は、「大太刀」というそうです。ゲームアプリに出てくる「斬馬刀(ざんばとう)」は中国のもので、日本では使われなかったようです。

 日本で最も長い日本刀の長さはどのくらいなのでしょうか。

古刀通じて最長の大太刀は、山口県下松市花岡八幡宮所蔵の「破邪の御太刀」(刃長345.5cm、全長465.5cm、75kg)である。「大太刀」、Wikipedia

 さて、この写真の刀は、かなりの長さに見えます。一体何メートルなのでしょうか。早速測ってみましょう。

 この女性の身長を155cmと仮定すると、刀の長さ(全長)は、2.33mになります。4メートル以上あるのではと思ったのですが、違いました。身長を160cmと仮定しても2.41mしかありません。花岡八幡宮の「破邪の御太刀」と比べても全長は半分ほどです。これなら、女性でも持てるかもしれません。

 もし刀がこの長さであるならば、模擬刀として売っているのではないでしょうか。

 やはり、この写真は、本物のようです。物干し竿のように長すぎる刀のように見えたのは、錯視ということでしょうか。

 撮影場所を探してみましたが、武道場は日本中至る所にあるため、特定することはできませんでした。