2016年11月9日放映のフジテレビ『世界の何だコレ!?ミステリー ~世界の衝撃エリア直撃!仰天ミステリー祭り~』という番組で興味深い映像が流れていたのでご紹介します。
『世界の何だコレ!?ミステリー』放映内容
(一部、YouTubeの情報を元に追記しています。)
ペルーの首都リマ南部のガソリンスタンドに設置された監視カメラNo.4の映像。それは、2016年8月22日(月)午前3時48分ころのものです。
監視カメラに、突然、正体不明の光る物体が浮遊しながらカメラのフレームを横断していく映像が映し出されます。
それに気づいたスタンドの従業員。そこには3名の従業員がいましたが、そのうちの一人Juan Mauricio Moralesがその謎の光る物体に近づいていきます。
この3名の従業員は、謎の光る物体の後を追います。
動画をアップしたのは、リマ在住の弁護士アントニー・チョイ(Anthony Choy)さん。
この事件を知ったのは物体が現れた5日後のことで、知人から教えてもらったそうです。
チョイ氏 『その時、ガソリンスタンドの監視カメラに物体が映っているらしいと聞いたので、見に行きました。残念ながら、監視カメラの映像はもらえませんでしたが、モニター越しで撮ることは許してもらえたので、自分のカメラで撮影したんです。』
取材班は、チョイ氏から従業員の連絡先を聞き、アポを取ります。
待ち合わせたのは、『Restaurant ERIKA』というレストラン。(たぶん、問題のガソリンスタンドの近くだと思います。)
レストランには、目撃したスタンドの従業員3人が待っていました。ファン(Juan Mauricio Morales、22歳)、オリベル(Oliver Suazo Calderon、18歳)、ジェシカ(Jessica Farfán、24歳)の3人です。
この光る物体に最初に気づいたのはジェシカ。
ジェシカ 『私が最初に気づいたの。それでファンに見て! ポケモンGOのモンスターみたいなのがいるわって伝えたの』
ファン 『それでボクも気がついたんだ。でも、遠くてよく分からなかったから見に行ったんだよ。』
『何だか分からないけどテクテク歩いているように見えて、僕が近づこうとすると逃げるように移動するので、後を追いかけたんだ。すると、3メートルくらいの所まで来たら急に物体が僕の方を振り向いたんだ。それで怖くなって動けなくなってしまったよ。』
撮影スタッフ 『その時って顔を見たんですか?』
ファン 『いや。全身がすごく光っていて、直ぐ飛んで行っちゃったから、ちゃんとは見られなかった。でも、目が赤く光っているのだけは見た。』
オリベル 『後から僕とジェシカも追いかけたんだけど、確かに赤い目をしていたよ。』
ファン 『実は、追いかけていたとき、物体が逃げるのをこれで撮ったんだ!』とスマホを示す。
この時、ファンが持っていたスマホで撮影したのが下の動画です。
実は、別アングルから撮影された監視カメラの映像があります。チョイ氏がアップしています。
このアントニー・チョイという人物は、1999 年以来、ペルーの超常現象について研究している方のようです。
撮影場所を特定する
番組の中で、番組スタッフが3人の従業員と待ち合わせしたのが『Restaurant Erika』という名前のレストラン。この場所はどこか。まず、これを調べます。
チョイ氏がアップした動画のタイトル『CASO PACHACAMAC』も参考になりそうです。『パチャカマックのケース(事件)』という意味です。
パチャカマックは首都圏リマの中心より約40キロ南東に位置し、創造神パチャカマック(Pacha Kamaq)を崇めるパチャカマック遺跡で知られている地域です。
ところが、Google Mapでいくら探しても見つからない。どうやらこのレストランは最近できたのではないかと思います。
撮影場所は簡単に分かると思ったのですが、結局特定することはできませんでした。
たぶん、この物体は、YouTubeのコメントにもあるように足を取り付けた風船ではないかと思います。
スマホで撮影した動画を見ると、3人の人間が映っています。つまり、現場には4人いたということ。監視カメラの映像を見ると、確かに4人の人物が謎の物体の後を追っています。
YouTubeの動画を投稿した人をテレビ番組が取材するというのはとても新鮮な企画です。とくに、ごく最近発生した『手垢の付いていないミステリー』は魅力的です。ガソリンスタンドの従業員たちが仕組んだフェイク動画ではないことは確かです。だから、この動画は面白い。
この謎の物体の正体が解明される!
スペイン語サイトでも話題になったこの事件。実は、解決していました。
事件から1ヶ月後、動画を分析した結果、ヘリウムガス入りのバックスバニーの風船であることが分かりました。
作ってみました!
バックスバギーが反転して宙を漂っていたため、耳の部分の動きで歩いているように見えた、というのが真相のようです。
この事件は、9月20日には既に解決していたのです。現地取材をしたときに分かったはずです。
フジテレビはこの事実を隠し、未だに謎であるかのごとく放映しました。番組作りの姿勢が問われそうです。エンターテイメントとは、視聴者をいかに欺すか。それに尽きる、ということでしょうか。
この事件をYouTubeで公開した人も、3名の従業員も全く悪気はありません。純粋に不思議だと思っただけです。ところが、ここで悪者が登場します。それがフジテレビ。
事件の真相が分かったのは良いのですが、フジテレビに欺されたという印象はぬぐえません。今回の事件の中で、ただ1人悪意を持って行動したのがフジテレビでした! 現地で取材に協力した人たちも、番組がこのように編集されているとは夢にも思わないでしょう。
なんとも笑える結末です。
なお、動画からバックスバニーを浮かび上がらせる画像処理は、ネットで公開されている動画の画質では無理です。
【解決編参考】
”Caso Pachacamac: Conclusión de MUFON Perú”