なぜ岩手県で新型コロナウイルス感染者が未だにゼロなのか。
2020年5月3日現在、日本の47都道府県の中で岩手県だけが新型コロナウイルス感染者ゼロの記録を更新しています。
これって、とても不思議に思いませんか。
その答えは、・・?。
今日はこの謎に迫りたいと思います。
日本国民みんなが、今回の騒動を早く収束させようと我慢しているのに、我慢していない一部の人たちを取材して、彼らから「家にいるとストレスが溜まる」という言葉を引き出し、それが免罪符かのように報道するメディアには怒りを感じます。
メディアは、どちらを向いて報道しているのでしょうか。他国の資金が入っているということでしょうか。
この記事は随時更新しています。
初稿: 2020年5月4日
最終更新: 2020年5月28日
考えられる理由とは
ほとんど頭を使わずとも思いつくことは、岩手県は人口密度が低いから、と言うことです。その証拠としてあげられるのは、人口密度の低い県は確かに感染者数が少ない。
普段の状況が3密とは縁遠いので、普段の生活そのものが感染予防・ 断密 になっている。
少しだけ頭を使って考えると、これはおかしいことに気がつきます。
インフルエンザは岩手でも普通に流行するし、人口密度とは強い相関関係は見られないようです。そして、何より不思議なのは、感染者数が「ゼロ」であり、未だにその状況が続いていることです。
いきなり結論
早速ですが、この謎の結論を書きます。
それは、誰にも分からない。これが結論です。
こんなもの分かるわけがありません。常識的に考えて、こんな事が起きるはずはない。でも、起きている。
検査数が少ないので、潜在的感染者はたくさんいる? でも、それは一ヶ月以上前のコメントでしょう。もし、そんな潜伏感染者がいたとしたら、今頃、大規模クラスターが発生しています。
出張や旅行で岩手県を訪れたり、逆に他県に出向いたりなど、岩手県内への人の出入りは相当の人数の筈です。それなのに、日本で唯一、新型コロナウイルス感染者ゼロを維持している。これを奇跡と言わず何というのでしょう。
岩手県民は、元々新型コロナウイルスに対する免疫を持っているとしか考えられない。
ん? 待てよ? この切り口が糸口かも。
唯一成立しそうな免疫仮説
岩手県だけなぜ感染者がいないのか。
それはたまたまだよ、と思ってから、既に2ヵ月以上経ちました。「たまたまだよ説」は論拠を失いつつあります。
他の感染症の県別感染者数を見ても、特に岩手県だけが感染リスクが低いというデータは確認できません。人口密度説は感染者ゼロという事実の前に、その根拠を失っています。
次に考えられるのは、気候、地形、植生などの自然条件です。しかし、これについても、過去の感染症県別事例を見る限り、根拠としてはなり得ない。なにしろ、感染者ゼロの高い壁は、そんな分析では越えられない。感染者ゼロの説明ができないからです。絶対に。
過去に岩手県民を襲った感染症とは
ここでひとつの仮説を立てます。それは、『 過去に岩手県民を襲った感染症。そこから生き延びた岩手県民の子孫は、今回の新型コロナウイルスに対抗できる免疫を持っている。 』
このように考えると、岩手県民だけ感染しない理由を説明できます。
さて、そんな感染症はあったのか。
ネットで調べると、「ポリオ」とか「コクサッキーウイルスB2型」というワードがヒットします。
1960年のポリオ大流行が頭をよぎります。そう言えば、BCGワクチンが新型コロナウイルス感染予防に効くかも知れないという報道を見た記憶があります。
ポリオがキーワードとして浮上してくる可能性があります。
ということは、この危ない仮説も、それほど的外れではないかも知れない。
とりあえず、このバージョンでアップします。続きは、ここに追記していきます。
いろいろ調べているのですが、奥が深く、なかなか進みません。
仮説が間違っている可能性はかなり高いと思うのですが、では、代替の仮説はと問われれば、「ない」というのが現状です。
どなたか、新しい仮説を提示して下さい。
岩手に隣接する県の感染者はどこ?
岩手県の感染者数はゼロ。では、隣接する県はどうなのでしょうか。
2020年5月6日時点の感染者数は、青森県で26人、秋田県で16人となっています。
では、具体的に、青森県と秋田県のどこで感染者が発生しているのでしょうか。
青森県の場合、上十三保健所管内で14名の感染者がいて、半数以上を占めています。上十三保健所管内とは、十和田市、三沢市及び上北郡(おいらせ町を除く)の8市町村で、岩手と隣接する地域です。
秋田県の場合は、秋田市での感染者数が半分近いようですが、東京などよその県在住者の感染が目立ちます。
ここで、岩手県という行政区分ではなく、江戸時代の藩政区分で見てみましょう。
旧南部藩(盛岡藩と八戸藩)を黄色で着色してみました。境はアバウトです。
上十三保健所管内は旧八戸藩と盛岡藩に属していた地域です。免疫仮説は、ちょっと苦しくなってきました。免疫取得は、幕末以降ということでしょうか。
岩手には新型コロナウイルスが入り込めない結界が張られている
どうせ分からないのであれば、楽しく推理した方がよい気もします。
奥州藤原氏の結界説というのはいかがでしょうか。
奥州藤原氏が滅んだのは1189年のこと。今から830年前のことです。
平泉にある関山中尊寺。ここは、天台宗のお寺です。
戦のない平和への願いを込めて建立された平泉の伽藍。そこには八門遁甲の結界が張られていた。奥州藤原氏の滅亡と共にこの結界は眠りにつきましたが、830年後の2020年正月、この結界が再び機能し始めました。
今年になって結界が復活した理由は不明です。しかし、専門家の話として、義経北紀行伝説が深く関わっているのではないかと言われています。(誰だよ、専門家って)
中国の感染者数の増加の推移をGIFアニメで見てみる
日本経済新聞社のホームページに興味深いデータがありました。
それは、中国における省別の感染者数の推移を地図上にプロットしたものです。とても興味深い内容になっています。
しかし、このままだと、感染者の増加傾向、感染地域の広がり方が視覚的にうまく捉えられない。そこで、GIFアニメーションにしてみました。
出典:日本経済新聞社、「新型コロナウイルス感染 中国マップ新型コロナウイルス感染 中国マップ」より作成
表示期間は、2020年1月22日から4月3日までです。
4月3日の時点の感染者数は81620人、死亡者は3322人です。一方、一ヶ月後の5月3日時点では、84393人(4643人)なので、4月3日頃には感染拡大はかなり収まっていたことが分かります。
この感染拡大の状況をタイムラプスで閲覧すると様々なことが見えてきます。
吉林省、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区、青海省、チベット(西蔵)自治区の五つの行政区の感染者数が少ないのが目にとまります。特に、吉林省の少なさが目立ちます。
また、寧夏回族自治区はまるで岩手県のような状況にあります。
しかし、中国の中で小さく見える寧夏回族自治区の人口は630万人。これに対し、日本で最大の県である岩手県は123万人です。
Gifアニメから、あなたは何が見えましたか。
岩手県は日本に存在しなかった説
フェイクニュースが巷を席巻していますが、この世は全てフェイクに満ちあふれている。
岩手県? そんな県あったっけ。
Google Earthで確認すると、巨大な渓谷があるあたりでしょうか。
大昔、奥州と呼ばれた地域ですが、室町時代に発生した大規模火山噴火により、この地域は消滅し、現在では大きなクレーターのみが見られます。
なぜかこのことは国家機密のようで、上記の衛星写真も秘密のルートから管理人が極秘裏に入手したものです。
つまり、昔、奥州と呼ばれていた地域は、現在はクレーターになっていて存在しない。だから、新型コロナウイルスの感染者などいるはずがない。
こんな極秘情報をネットで公開してよいか迷いましたが、写真屋さん(Photoshop)の後押しで、画像を公開しました。
ちなみに、写真の穴は本物で、「八戸キャニオン」と呼ばれています。関心のある方は調べてみて下さい。
やはり「アマビエ」の力か?
岩手県で感染者がいない理由は、妖怪が影響しているのかもしれません。
岩手の妖怪と言えば、座敷童やカッパが有名ですが、最近は、「アマビエ」という妖怪が人気のようです。
「アマビエ」とは半人半魚・妖怪で、海中から光輝く姿で現れ豊作・疫病などに関する予言をすると伝えられる。熊本県あたりが発祥の地らしい。
海中から現れて、「病がはやったら私の写し絵を人々に見せれば疫病がおさまる」と告げて海に戻ったとの言い伝えがあることから、現在、話題になっているようです。
絵を見るだけでも御利益があるかも知れませんが、それを南部鉄器で作った方がいて話題になっています。
ところで、上の古文書に日付が書かれています。弘化三年四月中旬と。
弘化三年と言えば、和宮さまが生まれた年ではありませんか。和宮関連の記事をたくさん書いている管理人には、この記述がすぐに目にとまりました。
和宮は、弘化3年閏5月10日(1846年7月3日〉生まれです。この古文書が書かれたのは、和宮誕生の二ヶ月ほど前になります。
県別感染者数のマップを作ってみる
ネット上にある県別感染者マップは、色分けがイマイチよく分からない。
そこで、自分で作ってみました。
5月11日現在で作成。青色系は感染者100名未満の県を示す。
県別の感染者数を見ると、100人以上の感染者が発生しているのは17都道府県です。つまり、残りの30の県では100人未満の感染者数です。このため、表示の刻みを上の図のようにしてみました。
なお、NHKのホームページには次のような図が掲載されています。度数分布に関心のある方には興味深い図かと思います。
Image: NHK、「特設サイト、新型コロナウイルス特設サイト、新型コロナウイルス」、2020年5月12日閲覧
図の作成は、フリーソフトの「地理情報分析支援システム MANDARA」、データは、東洋経済の集計データを使っています。
海外のメディアも不思議に思っていた感染者ゼロの謎
5月21日、日本記者クラブが5知事をインターネットで結んで開いた記者会見で、岩手県庁から参加した達増知事に対し、新型コロナウイルスの感染者が県内で確認されていないことに対する質問が相次いだ。香港のメディアから理由を尋ねられた知事は、・・・。一般的な回答をしました。
これではつまらない。次のように説明したら、そのニュースは世界中に配信されたのに。残念でなりません。
マスコミ受けするには、次のような回答もあり、だったように思います。コロナ騒動後の観光客の再誘致も考慮し、この程度の発言はして欲しかった。
(答弁の模範回答)
「記者の方々もご存じの通り、岩手には世界遺産平泉があります。そこにある中尊寺金色堂の須弥壇内には藤原四代のミイラ化した遺体が安置されております。昭和の調査では、ご遺体にはミイラ化するための処置が行われた形跡は確認されておらず、現代に至るまで、なぜ、四代のご遺体がそろってミイラ化しているのかが大きな謎となっています。
金色堂の造営に使われた大量の黄金のほとんどは、岩手県内で産出したものです。金山の数は無数にあり、県内、いたるところで金山跡地を見ることができます。採算が合わないことから閉山しているのですが、平安時代の技術で掘り尽くされたとは考えられず、本当は、大量の金が眠っているとも指摘もあります。
さて、新型コロナウイルスの感染者数ゼロを維持している岩手県。その理由はとの問いかけに、明確な回答はできそうにありません。しかしながら、金箔貼りのお棺に納められた藤原四代のご遺体が腐敗せずにミイラ化していること、さらには、岩手県内には無数の金山跡地があり、今なお相当量の金鉱石が地下に眠っていることから考えれば、金が何らかの作用を及ぼしていると考えるのも、ロマンがあってよろしいかと存じます。」
いかがでしょうか。海外メディアが喜びそうな回答例です。知事としても、変なことは言っていないし、岩手の観光アピールに一役買っているので、批判する人もいないと思います。どうせ誰も分からないのだから、ロマンがあった方が楽しい。
米国メディアも報道
2020年5月15日、米国の有力紙「THE WALL STREET JOUNAL」(電子版)が、「This Japanese Region Has No CoronavirusIwate, hit by a tsunami in 2011, is alone among nation’s 47 prefectures with no reports of Covid-19 among its 1.3 million residents」という記事を配信しました。
米国の記者も理由が分からず困惑しているようです。せっかく記事にしたのに、中身のないものになりました。上記の模範例のように岩手県知事が発言していたら、記者は喜んでその詳細を配信したでしょう。せっかくのチャンスを逃し残念ですね。
日本人は既に免疫を獲得しているかも知れないという論文が発表された
5月2日、京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学の高橋淳教授が連名でCambridge Open Engageに “Paradoxical dynamics of SARS-CoV-2 by herd immunity and antibody-dependent enhancement” 3) という論文を発表しました。内容は、日本人には新型コロナウイルスに対する免疫があったとするもの。
内容については、他のニュースサイトで確認して下さい。
この論文で述べられているのは、日本での対策が遅れたことが幸いして、当初流行した毒性の低い新型コロナウイルスへ日本人が感染し、それにより免疫を取得したというもの。
いろいろデータで説明していますが、「免疫を取得した」が最も重要なことなのに、それについては憶測のようです。
上で書いたように、既に日本人に一部は免疫を持っているとの仮説に対する力強い援軍のような論文ですが、岩手県人だけ、あるいは、岩手県周辺の地域の住民だけが感染者ゼロ、という根拠には使えそうにありません。
論文では、都道府県別データなどから分析していますが、管理人の視点では、この分析方法は問題があると感じます。
そもそも都道府県とは行政区分であり、その区分で分析したのでは、感染の実態は見えてこない。では、どういう分析をすればよいかというと、『保健所管内』という区分で調べる必要があると考えます。各県のデータはこの区分で整理されています。
たとえば、青森県の場合、県所管の保健所が六カ所(弘前保健所、三戸地方保健所、五所川原保健所、むつ保健所、上十三保健所、東地方保健所)と青森市および八戸市所管の保健所が各一カ所の合計八つの保健所があり、それぞれが管轄する地域を持っています。
各管内の感染者数は次のようになっています。(5月26日集計値、感染者数27人)
- 八戸市 9人
- 青森市 3人
- 五所川原保健所管内 1人
- 上十三保健所管内 14人
保健所の所管地域の区分を示したのが下の図です。
青森県の感染者数27人と聞いて、青森県全体を感染確認県として塗りつぶすような乱暴なことはせず、もっと地域に密着した、きめ細やかな分析が必要と思います。
岩手県で新型コロナウイルスの感染者が確認されない理由は、まさに”たまたま”。日本の行政区分としての「岩手県」ではたまたま確認されていないと言うことです。保健所所管範囲で確認すると、感染者ゼロの区域は広く存在します。
上の図を見れば、感染者27人が確認された青森県では、県全体で感染が発生しているわけではなく、発生が確認された保健所管轄は、四つに過ぎません。つまり、広大な青森県の中で、半分の地域で感染者ゼロの状態を維持しています。
管理人が論文を書くとしたら、このような保健所管区の基本データに基づき、執筆します。政府のお墨付きで感染者データのまとめ役になっている先生方が県単位という視点で分析しているのでは、その主張の信頼性が低下します。分析がステレオタイプになっています。
管理人は、この見本データを作るのにかなり時間をかけましたが、先生方であれば、各県に作成を依頼すればすむこと。作成がとてもめんどくさい保健所所管範囲図を自らが作る必要はありません。この基本的な手間を惜しんでいては、結局、現状把握が疎かになっているように感じます。
この図は、岩手県に隣接する青森県、秋田県、そして宮城県の三県における県内保健所管轄別感染者分布状況を表示することで具体的な分析が可能になるのですが、とてもとても管理人には手に負えない。1人でやるにはとても手間がかかります。
参考資料
1. ポリオウイルス感染源調査ポリオウイルス感染源調査
2. 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ、「肥後国海中の怪(アマビエの図)肥後国海中の怪(アマビエの図)」: 湯本豪一編『明治妖怪新聞』柏書房, 1999
3. “Paradoxical dynamics of SARS-CoV-2 by herd immunity and antibody-dependent enhancement“, Yasuhiko Kamikubo Kyoto University ,Atsushi Takahashi, Kibi International University ,cambridge, 2020.2. May.