ハードディスク内部のリカバリ領域からのシステムのリカバリ方法

PC編

 この1年間でWindowsのクリーンインストールを2回もするはめになったので、3回目に備えて、システムのリカバリ(クリーンインストール)方法を書いておきます。

 さらに、通常は表示されないシステム復元のための「リカバリー領域」のファイルをコピーする方法も追記しました。これも転ばぬ先の杖です。

 Windows等を再インストールしてシステムやアプリケーションを購入時の状態に復元(リカバリ)するのは、「最後の手段」です。他に考えられる修復方法を全て試してもWindowsの修復ができない場合のみ行います。

 システムの復元によるリカバリをすると、ハードディスクの内容はすべて削除されます。全てのプログラム、データが消去され、購入時の状態に戻るため、必要なプログラムやデータの再インストールが必要になります。特に、 Microsoft Office(Word、Excel、PPTなど)のインストールCD(さらに箱に書かれている「プロダクトキー」)を持ってないと、PCをリカバリした後、ただの箱になってしまいます。(Cドライブのみのリカバリも可能ですが、そもそもリカバリする事態になるくらい重傷なら、Cドライブのみのリカバリではなく、HDD全体の方が良いと思います。ウイルスの場合、どこに隠れているか分からないので。)

 パソコンによっては、購入時にOffice、一太郎などがプレインストールされているものもありますが、リカバリを行うと、これらのソフトも全て消去され、新たに購入時の付属CDから再インストールする必要があります。「購入時の状態に戻る」わけではなく、ソフトがプレインストールされていない工場出荷状態に戻るということを理解して下さい。リカバリをするとパソコンは、『ただの箱』になります。

準備:データの回収

1.まず、データを外付けハードディスクに回収します。この方法は、PCの不具合の程度により色々あると思います。セーフモードで起動するのであれば、引っ越しソフトが使えるかも知れません。しかし、外付けのディバイスを認識しない場合には、別の方法で回収することになります。

① 一番簡単なのが、PCからハードディスクを取り出し、ハードディスクケース(単に接続アダプタのみもある)に入れ、これを外付けハードディスクとして使ってデータをコピーし、それを他のコンピータに読み込む方法です。ハードディスクケースは3000円~5000円くらいで入手できます。アダプタのみの場合は、2000円くらいではないでしょうか。この方法の欠点は、もう一台のパソコンが必要になることです。

 PC本体からハードディスクを取り出す方法は、購入時のマニュアルに載っていますが、それを紛失している場合が多いと思います。通常は、PCの底のねじを1本か2本外すだけで抜き出すことができます。機種によっては、キーボードの前面(手前)から引き抜くタイプもあります(NEC)。

② データ回収の別の方法として、『KNOPPIX』というフリーソフトをCDから起動させる方法があります。エクスプローラに似た操作で、扱いやすいと思います。この方法の欠点は、このCDを作るのにとても時間がかかることです。作り方は、過去記事をご覧下さい。このCDさえ事前に作っておけば、他のコンピュータは不要です。

③ この他に、DOSモードで起動してコピーする方法もあるのですが、様々な場所からデータを回収する必要があるので、それぞれのパスを調べなければならず、現実的ではありません。そもそもDOSモード起動ディスクを作るのがめんどくさいです(過去記事に作り方があります)。

 この方法は(パスの分かっている)一つのフォルダやファイルの操作には適しているかも知れませんが、PCからの必要なデータの回収には不向きです。エクスプローラ等で取り残しのデータがないか確認する方が安全なので、この方法はやめるべきでしょう。普段しっかりデータ保管場所を整理しているつもりでも、実際にはあちこちに分散しています。

2.回収するデータ

① 通常の文書ファイルの他に、ダウンロードした『ソフトのインストールプログラム』、メールデータ、「お気に入り、ブックマークなど」も忘れずに回収します。Firefoxのブックマークは暗号化されているので、場所はネットで探して下さい。

② ときどきIEとFirefoxのお気に入りと同期をとっておけば、IEのお気に入りをコピーするだけで、Firefoxにインポートできます。この同期をとる方法は過去記事をご覧下さい。

③ デスクトップのショートカットもコピーしておくと、どんなソフトを入れていたのか知ることができ、後で再インストールする時に役立ちます。もちろん、コピーしたショートカット自体は使えませんが。

④ おっと、忘れるところだった。PhotoshopやGIMPなどのブラシ、効果類も忘れずにコピーしましょう。これを集めるのに大変な時間がかかっています。

⑤ さらに忘れてしまうのが「フォント」。フォントを全てコピーしておくと便利です。フォントを追加していない人には不要ですが、ネットから大量に追加している人にとっては非常に大切。

⑥ 購入したソフトのプログラムとシリアル番号。この二つは一つのフォルダにセットで入れておくと引っ越しの時に楽です。

 他に忘れ物がないか、時間をかけてダウンロードしたものはないか確認します。フリーソフトはいつでもダウンロードできるので、基本的に無視。でも名前くらい覚えていないと、ネットで探す時に意外に苦労します。そのためにショートカットがあれば、メモ代わりにコピーしておきます。

 いかがですか? 結構たくさんあるでしょう?

 Programフォルダをコピーしても意味がありません。コピーしてもその多くはレジストリや他の必要なフォルダと関連づけられていないので動かないと思います。レジストリをコピーするのもやめましょう。そもそもWindowsが起動しなくなった原因、さらにウイルスがいるかもしれないので、せっかくリカバリする意味が無くなります。

 システムファイルのコピーも不要です。コピーしても使い道がありません。それにコピーすると後でこれを削除するのに苦労することが結構あります。

システムのリカバリの方法

  OS:Windows Vista Home Premium
  PC本体: 東芝 dynabook EX/33

 この機種のリカバリーディスク(ソフト)は、ハードディスクの中のリカバリ領域に入っています。リカバリCDはありません。以下の手順は、東芝サービスセンタにメールを書き、教えて頂いた方法です。リカバリ方法はメーカーによっても機種によっても違うと思います。ネットで方法を探すより、メーカーにメールを出すと、必要な説明書きのあるURLを教えてくれます。

作業手順

1.周辺機器を取り外す

 マウスも含めて全ての周辺機器を取り外します。
 ・・・と説明にはありますが、マウスは接続していてもOKです。

2.パソコン本体にACアダプタと電源コードを接続します。

3.パソコンの電源を切り、キーボードの[0(ゼロ)]キーを押しながら電源スイッチを押し、「dynabook」画面が表示されてから手を離します。

 以下の「警告!」画面が表示さるので、[はい(Y)]ボタンをクリック。
 この画面はなかなか威圧感があり、ちょっとたじろぎます。

4.「<復元方法の選択>」画面が表示されます。[初期インストールソフトウェアの復元]にチェックを入れ[次へ(N)>]ボタンをクリック。

5.「<初期インストールソフトウェアの復元>」画面が表示されます。

[パーティションサイズを変更せずに復元]にチェックを入れ、[次へ(N)>]ボタンをクリック。

注意

 このモードを選択すると、Cドライブのみが初期化されますが、Dドライブのデータは保持されます。

 最初のオプション 「ご購入時の状態に復元(システム回復オプションあり)」の方が良さそうに見えますが、これを選択すると全てのドライブを初期化します。

6.「復元を開始します」画面が表示されます。[次へ(N)>]ボタンをクリックします。

7.復元が実行されます。結構時間がかかりますが、気長に待ちましょう。

8.「正常に終了しました」画面が表示されます。[終了(F)]ボタンをクリックするとコンピュータが再起動します。
 これで作業終了です。

 実際はここからが大変。インターネット接続環境を設定し、ネットに接続します。

 Windowsの更新を行いますが、これには大変な時間がかかります。更新プログラムの読み込み、再起動の繰り返し。

 後は、基本ソフトのインストール。これも更新プログラムがたくさんあるので、いやになるほど時間がかかります。リカバリは、できることなら避けたいものです。

 この記事に検索でたどり着かれた方は、リカバリを考えていると思いますが、もう一度他の方法がないか考えてみてはいかがでしょうか。

 このブログのカテゴリ「PC不具合対策なんでもカテゴリ」も一度ご覧下さい。有効な対策が見つかるかも知れません。

リカバリー領域をコピーする方法

 万が一に備えて、あるいは、調子の悪いハードディスクを交換する際、リカバリー領域のファイルをコピーできると便利です。

 通常、このリカバリー領域はエクスプローラでは表示されません。

 実は、やったことがないのですが、ハードディスクを取りだして、上でご説明したハードディスクケースに入れ、外付けハードディスクとして使うと、ハードディスクの中身を全て見ることができると思います。でも、Linuxのフォーマット形式になっているので見れないかも。

 他の方法として、KNOPPIXを使えば、リカバリー領域も全て表示できます。ただ、このKNOPPIXの起動CDを作るのが手間ですが。この方法は、こちらの過去記事『転ばぬ先の杖(その2):Windowsが起動しない時にデータを抜き出すCDの準備』をご覧下さい。過去記事のKNOPPIX画像の中で、ファイラーで開いたリストの中の「HDDRECOVERY」というのが、お求めのフォルダです。「CDから起動しているので、気長に操作してください。」という説明文の下の画像です。