文字だけで人物を浮かび上がらせるタイポグラフィ(Typography)を作ってみました。
今回のお題は、『宝島』の著者スティーブンソンです。浮かび上がる文字は、宝島の英文になっています。
この画像がどれだけ奇麗かは、下の画像で確認して下さい。文字がクッキリしていると思います。
準備作業
以下で、作り方をご紹介しますが、きれいに、しかも簡単に作るためのポイントは、文字列のセッティングです。そこら辺にある適当な文字列でつくるのなら問題ないのですが、今回のように特定の人物が書いた小説を文字列にする場合、かなり手間がかかります。それをできるだけ簡単にする方法をご紹介します。
まず、画面全体を文字で埋め尽くさなければなりません。改行されたりして余白ができると「表示したい場所が表示されない」という問題が起こります。そこで、改行や余分な余白を削除して、テキストを1行にする必要があります。それが簡単にできるExcelファイルを過去記事『PDFファイルのテキストをコピーするときに役立つテキストの結合方法』で入手します。『複数セルを一つのセルに統合するマクロ』というexcelファイルです。面倒でしょうから、直リンクを貼ります。自分のサイトなので。こちらからダウンロードして下さい。Download Passは、『cesar2015』です。
使い方はとても簡単です。上記過去記事、あるいは、ダウンロードしたファイルに使い方を書いています。テキストをExcelの[セルA1]にペースとしてボタンを押すだけで、改行のない、空白のない1行のテキスト文字列を瞬時に作成します。
文字列の作成
1.テキスト原文の入手
① スティーブンソンの小説『宝島』を事例に書きます。まず、『宝島』の原文をネットで探します。
② 見つかった原文のテキストをコピーします。
2.テキストの結合
① 前の手順でダウンロードしたExcelファイルを開きます。開いた画面の上のところにダウンロードしたファイルについての警告が出ると思いますが、承認します。
② 次に、[セルA1]に、[Ctrl]+[V]でテキストをペーストします。
③ 最後に[セルを一つに統合する]ボタンをクリック。これで、[セルA1]に1行になったテキストが表示されます。
(このExcelマクロは、[A列]に貼り付けられたテキストを結合する機能しかありません。テキストが[B列]等複数の列にまたがって貼り付けられる場合は、コピーの方法を変更するか、[A列]だけになるよう調整して下さい。
3.テキストの出力
1行になったテキストをPhotoshopなどに読める状態にします。
Photoshopにテキストとしてコピーペ方法ではうまくいかないので、別の方法を採ります。
① Wordを開きます。メニューバー[ページレイアウト]⇒ページ設定グループの[サイズ]で、『A3(拡大縮小)』をクリック。A3判の大きな画面を使います。
② 入力画面にテキストボックスを描き、その中に、Excelから1行になったテキストをコピー&ペースト。テキストボックスの大きさをページ一杯に拡大します。
③ テキストボックスが選択された状態で、[Ctrl]+[A]で全文を選択。[フオントサイズ]に[5]と入力。(文字が5ポイントとかなり小さくなります。)
④ 行間を縮めます。[ホーム]⇒[段落]グループの[行と段落の間隔]⇒[行間のオプション]
「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」のチェックを外し、[行間]を[最小値]にする。その右の[間隔]を8pt程度に設定し、[OK]。
これで、ページ一杯にテキストがびっしり書かれたテキストボックスができあがります。
⑤ これをPDF形式で保存します。
タイポグラフィの作成
いよいよ、タイポグラフィを作ります。
① スティーブンソンの写真と前の手順で作成したpdfファイルをPhotoshopに読み込みます。写真が上のレイヤーです。
pdfファイルはかなり大きなサイズ(2800 x 4000px程度)になっているので、それに写真を合わせます([編集]⇒[変形]⇒[拡大・縮小])。大体でOKです。
② 写真のレイヤーを選択し、[イメージ]⇒[色調補正]⇒[二階調化(Threshold)]
白黒画像になるので、スライドバーを動かして、画像がきれいに見える好みの位置に調整。
きれいな白黒画像になるように、余計な部分は白か黒で塗りつぶします。
③ 人物のレイヤーを描画モード[スクリーン]に設定。
以上でタイポグラフィの完成です。
白黒写真と言えば、印象的なシルエットが素敵なこの人。『チェ・ゲバラ』でしょう。
なお、使っている文字列は『宝島』です。
今回、文字列をpdfに保存する方法を採りました。いろいろ試したのですが、この方法が最もきれいに文字を表示できました。大きなサイズで作っているので、これを小さくする過程で、文字が劣化します。その劣化を如何に抑えるかがポイントです。今回は、劣化を抑えるため、すべてpng形式のファイルで扱い、Irfanviewのpng圧縮機能と、PNGファイルの圧縮サービスサイト『TinyPNG』を使って圧縮しました。画像のサイズは大きいままです。
今回は、画像処理にPhotoshopを使っていますが、レイヤー機能のあるレタッチソフトなら同じようにできると思います。「スクリーン」は珍しい機能ではないので。