TikTokを見ていたら、使われている曲が気に入りました。動画自体は掴んだ砂を水の中に放つというシンプルなもの。面白くもありません。ただ、使われている曲が印象的。このような動画はTikTokとしては珍しいと思います。
この曲は、何?
前回と同様に、分からないことはGoogleに聞いてみます。
Googleアシストの回答は、以下のものでした。
Googleアシストの回答は、『Alec BenjaminのLet Me Down Slowly」です。』というものでした。
そして、この回答は正解でした。
Alec Benjamin – Let Me Down Slowly (Lyrics)
アレック・ベンジャミン(Alec Benjamin)は、アリゾナ州フェニックス生まれで、現在、28歳。彼のことは、日本ではほとんど知られていないようです。ところが、日本以外のアジアでは人気のようです。
なぜそう考えるのか。理由は二つあります。
一つ目は、「アレック・ベンジャミン」の項目がWikipediaの日本語版として存在しないことです。たまたまだよ、と考えますが、それは違います。
Wikipediaに「Alec Benjamin」で項目立てしている言語は、英語、アラビア語、ベンガル語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、韓国語、インドネシア語、ポルトガル語、中国語、の10カ国語に及びます。Wikipediaの言語別項目立ては、そのテーマの言語別関心度合いを測るバロメーターになります。
二つ目は、アレック・ベンジャミンのアジアツアーが行われているらしいのですが、その訪問国に日本が含まれていないことです。
2022年11月21日:マニラ、11月23日:台北、11月25日:ソウル、。11月30日:クアラルンプール、12月4日:シンガポール、12月10日:シドニー、12月13日:メルボルン。
コロナの影響で、(ツアー企画時点で)日本での開催が不可能だったとも言えますが、それは台湾でも同じこと。日本での人気が今ひとつということを物語っていると感じます。
上の動画は、Officialサイトのものです。それなのに歌っているのは女性のように思いました。どうなっているのでしょうか。
アレック・ベンジャミンは女性的な声も出しますが、男性なので地声は男の声です。では、歌っているのは? 動画を観ると本人が歌っています。なんと、女性の声だと確信していたのに、ベンジャミン本人が歌っていました。・・・・。たぶん、TikTokの音源は、Alessia Caraにお願いして彼女も歌っているようです(Alec Benjamin – Let Me Down Slowly (feat. Alessia Cara))。
TikTokの人気曲と巷のヒット曲は違う
Twitterを買収したイーロン・マスク氏は、過去に、Twitter従業員に「TikTokみたいになれ」と言っていました。
イーロン・マスク氏の次の標的は、TikTokかも。
TikTokと音楽素材所有会社との関係は、両者にとってWin-Winの関係にあると思います。毎年、無数に存在する「ヒット曲」は、制作者サイドの身内が作り上げたヒット曲という感じがしますが、TikTokのBGMは全く違います。世界中の人たちが、「この曲は何?」と関心を示すほど盛り上がります。そこには、ヤラセも広告代理店も存在しません。
そこで使われる曲は、新旧様々です。昔の曲がリバイバルする可能性も秘めています。TikTokの運営サイトと音源メーカーがタッグを組めば、今まで知られていなかった名曲が世に出るきっかけになるかも知れません。
楽曲メーカーが半ばヤラセで作り上げた「ヒット曲」よりも、TikTokの音源に使われる再生回数の多い曲の方が、世界的な認知度が高いと言え、それは、本当の意味での「名曲」と言えると思います。
2021年12月29日、music;)ally Japan が「TikTokヒット曲と音楽チャートヒット曲の違いをAIで分析した結果。TikTok発ヒット曲に共通する歌詞、ムード、曲調とは?【寄稿記事】」という記事を配信しました。
この記事は、同社の英語版 “Is there a magic formula to TikTok song success? Here’s what AI analysis shows (guest column)” を日本語に翻訳した記事のようです。わざわざこんなことを書く理由は、記事の中身を精査するためです。
TikTok で使われている楽曲の再生回数が増えると注目され、新しいアーティストの発掘や過去にリリースされた曲が注目を集めるなど、新たな動きになっています。
すなわち、TikTok は昔のヒット曲も蘇らせることができるし、プロモーションにお金をかけなくても無名の新人の発掘・宣伝ができるのです。
前述のAIを用いた分析については、管理人は違和感を感じます。曲の特徴を分析している点についても、管理人は、ほとんど意味がないと感じます。
その理由は、TikTokで使われているのはわずか10秒程度のフレーズに過ぎません。こんなもの、曲とは言えません。しかも、その曲の大半は、TikTok側が用意したもの。TikTokがJASRAC(音楽関連の著作権を管理する団体)と提携を結んでいる曲です。
TikTok に投稿されている動画は、個人で撮影したものも多いのですが、映画やアニメのパクりも目立ちます。厳密に言えば、「違法」の疑いが濃厚な動画もたくさんアップされています。
TikTok が一つの文化を築いていく過程で、一部の(無許可)動画の流用という違法行為が行われる。しかし、それを(完全なる)違法とは断定できない。著作権者にとって、話題にならなければ著作権という権利を持っていても収入にはつながりません。10秒程度の動画をパクられたからと言って目くじらを立てる必要もない。むしろ、動画の宣伝にもなり望むところでしょう。
このような流れは、法制度の成立過程を見ると分かります。何でもかんでも「違法」とか「グレーゾーン」とかのコメントする人たちは、何も考えていない人たちです。
著作権が侵されるから違法という、子供じみた発想ではなく、そもそも、(著作権侵害を恐れて)その存在を誰も触れたがらない、ということが問題となります。著作権の本末転倒の事態です。
結局は、持ちつ持たれつの関係にあると言うことです。もし、著作権者が一切の流用を禁止する、たとえ1秒の動画流用でも裁判に訴える。そんなことをしたなら、そんな動画や曲は世間から忘れ去られてしまいます。だれも話題にしなくなるからです。その結果、著作権者は宝の持ち腐れ。だれもその存在を知らない、ということになります。
TikTokユーザーの75%が、このアプリで新しいアーティストを発見したと回答し、63%のユーザーがTikTokで初めて曲を聴いたと答えています。
結局は、TikTok が用意した曲の中での話です。TikTok が JASRAC などと協議が整ったほんのわずかな数の楽曲に対しての議論だと言うことです。曲の選択権限は全面的にTikTok側にあります。
AI分析に使われたデータは何なのでしょうか。TikTok が提供する曲は、さまざまなバージョンがあります。提供する曲のどの部分をパーツとして採用するのか。1曲の中でも複数存在します。さびの部分だけとは限らないのです。
AI分析にかけた元データはどのようなものだったのかは不明です。単に1曲全体を評価対象としたのなら、それは、試験方法の失敗と言えます。単に、AI分析をしてみただけで、その分析結果に何の価値もありません。
結局、AI分析にかけるデータセットという初期段階で困難に直面しているように感じます。
何でもかんでもAIに頼るのではなく、TikTokの10秒程度の音源という特殊性を加味したデータセットを作るべきでしょう。
この曲の歌詞はどういう意味?
この曲の歌詞の日本語訳を知りたい。
そんな時、クソの役にも立たないのがGoogle翻訳です。”Let me down Slowly Lyrics” でググると英語の歌詞が表示されます。そして、下部にある「日本語に翻訳」ボタンをクリックすると意味不明な日本語が表示されます。表示されているのは、とても日本語とは言えず、このレベルの翻訳結果を表示することにGoogleは恥と思わないのか、と心配になります。
使われている単語自体は簡単なものなのに意味が分からない。歌詞を翻訳しようとするといつも遭遇する現象です。
歌詞の翻訳については、専門的に翻訳しているサイトが信用できます。たとえばこのサイトなど。
曲の冒頭の “This night is cold in the kingdom” をどう訳すのか興味があったのですが、・・・。
どう翻訳しているかは自分で確認して下さい。えっ? 人間が翻訳するとこうなる、という見本のような訳文です。だから、機械には無理なのです。
翻訳は、男性の言葉から、途中で女性言葉に変化します。これって・・・。
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