マインドマップってこんな機能が不可欠:Excelでつくる

技術計算

頭の中を整理したい

 頭に思い描いたとりとめもないことをパソコン上に描き出して、アイディアにまとめる。

 あの時、おもしろアイディアが浮かんだと思っても時間が経つと忘れてしまう。

 頭の中に浮かんだことを書き留めておきたい。でも、メモとして残しても、後で見るとなぜそれがよいアイディアだと思ったのかが分からない。”点” の情報では、後になって使えない。

 やはり、情報はつながり・関連性があって初めて役に立つ。

 頭に思い描いたことを簡単に書き留めることができ、そのつながり関係も図示できるようなソフト。

 そんなソフトがないかなぁ、と思っていたら、「マインドマップ」というものがあり、様々な種類のツールが出ていることを知りました。

既存のマインドマップはどれも使い物にならない

 マインドマップという言葉を聞いたことのある方は多いと思います。

 そのような方は、FreeMind、MindMupなどの多くのツールも知っており、そのうちのいくつかを試したことがあるかも知れません。

 そして、その結果を管理人は推測できます。

 「だれも使わない!」

 今日は、既製の役にも立たないマインドマップではなく、本当に使えるマインドマップをご紹介します。それは、エクセルを使ったマインドマップの作成です。

既製のマインドマップがなぜ役に立たないのか

 まず、「マインドマップ」とは何かをWikipediaで見てみましょう。
 

マインドマップはトニー・ブザン(Tony Buzan)が提唱した思考・発想法の一つ。頭の中で起こっていることを目に見えるようにした思考ツールのこと。 Wikipedia, 「マインドマップ」

 もし、マインドマップが「マインドマップは階層的であり、全体の部分の関係を示したもの」であると定義するのであれば、管理人には不要なものです。

 管理人が欲しいのは、頭の中に思い浮かんだことをメモのようにパソコン上にランダムに記載していき、後でその関係を考え、適当に配置し直し、最後に、あるいは途中で関係線でつなぐというもの。

 これが管理人の考える『マインドマップ』です。一つのテーマを決め、その関連のことばかりを書いていく分けではありません。頭に浮かぶことがらは種々雑多であり、その時点では無関係に見えても、後で重要なキーとなる事項だったということもよくあります。

 とにかく、思考を妨げるような制限を加えずにどんどん書き込んでいくことが重要です。その段階では、関連性など考えてはいけない。

 マインドマップに関連した様々なツールが出ており、それを紹介するサイトもたくさんあります。

 しかし、紹介しているサイトの運営者って、このツールを使っているの? 会社の企画会議で使ってる? それは嘘ですね。だれも使っていないはずです。

 そう考える理由は、マインドマップの本来の目的とはかけ離れたツールになっているからです。これでは使い物になりません。

 マインドマップは、「頭の中にある思考やアイディアを視覚化する手法」であり、ノートのような使い勝手が求められます。

 人間の思考は、バラバラ。パーツの寄せ集めのようなもの。それを視覚化して、関係性を整理していくのに役立つのが本来のマインドマップに求められる機能です。

 ツールの機能制限により思考が中断するなど問題外です。

 たとえば、「FreeMind」は、ルートノードは一つしか選べません。しかし、人間の頭の中は、そのようにはできていない。たくさんのルートノードが必要です。このツールは最初からマインドマップとしての基本的な機能を備えていないのです。

 他のマインドマップ関係ツールを見ても、使い勝手が悪い。ツールを使っているのではなく、ツールに使われているという印象を受けます。

 これでは使えない。

マインドマップに求められる機能

 マインドマップは手書きでもできます、とWikipedia(英)に書かれていますが、マインドマップをわざわざパソコンで描こうとする人は、手書きにはない魅力を考えてのことでしょう。

 それは、自分で見やすく加工し、配置換えしたり、あるいは、他の人に見せることを想定しているから。

 ここで、マインドマップに求められる機能を整理しましょう。

  • 思考を妨げず、メモ帳感覚で書き込めること。
  • 関係ないようなことでもとにかくメモできること
  • メモは自由に位置を移動でき、自由に配置できること。
  • 関連付けのために矢印を自由に引けること(どんな位置でも)
  • 矢印を引いた後でも、自由に位置の移動ができること
  • 不要なものは簡単に削除できること
  • 文字の大きさや背景の色を個別に変えたりなど、自由に装飾できること。
  •  ざっと考えると、こんな所でしょうか。

     矢印は最後に引くとか、矢印を引いたら位置の移動ができないだとか、そんなソフトは問題外です。そのような制約がある時点で、既に自由な思考を妨げています。

     管理人が特に重要だと考える機能は、一切の制約のない自由配置、自由な削除、関係線の追随です。そして、どの作業段階でもそれが可能なこと。 矢印を引いたら、あとは変更できません、ではとても使い物にならない。

     世に出回っているソフトを調べ、そのうちのいくつかを実際に使ってみたのですが、作業を続けるのが嫌になり、途中で放り出しました。 管理人の調べたソフトはすべて上で示した基準を満たしていません。
     
     では、どうするか。

     やはり、このような機能のソフトを使いたい。でも、ない! それなら作ればいい!

    エクセルで地図作成する『XLmap』の機能でほとんどできる

     『XLmap』というソフトをご存じでしょうか。ソフトと言っても、マクロ付きエクセルファイルです。

     このソフトは、地図作成やお絵かき用として作成されたもののようです。

     ソフトの制作者『洋々亭のお仕事Tips』管理人さんは、マインドマップについての記事も掲載しているのですが、自らが配布している『XLmap』とマインドマップとを関連づけて考えてはいないようです。

     『XLmap』はお絵かき用として開発されているため、上で示した機能を持っているわけではありません。しかし、『XLmap』の持つ多くの機能がマインドマップ作成ツールとして有効です。足りない部分は、自分で作ればいい。

     足りない部分は、オブジェクトを矢印でつなぐ機能と削除機能です。

     エクセルはたくさんの優れた機能があるのですが、それを呼び出すのはめんどくさい。これを『ワンクリック』でできるようにマクロボタンを配置します。

     本当はボタンではなくリボンに組み込む方がよいのですが、とりあえずはボタンにしてみました。

    『XLmap』に機能を付加する

     『XLmap』のマクロはオープンになっているので、そこに追加します。

     どんなことができるのか、説明するより動画で見た方が分かりやすいと思うので、YouTubeにアップしました。

     動画では、モナ・リザの家系図を描いています。管理人の関心は、動画のような単純なものではなく、もっと奥行きがあります。この家系図をどこまでも遡りたい!

    モナ・リザ家系図

     遡れば遡るほど、配置換えをする必要が出てきます。オブジェクトの一括選択機能があるので、オブジェクト全体を好きな場所に移動できます。

     この図の中に、レオナルド・ダ・ヴィンチとの接点が当然書き込まれていきます。時系列の接点と、人とのつながり・空間的な接点。二つの軸が重なり合う。

     こんな頭の中に浮かんだ妄想をパソコンに記録しておけば、時間が経っても、いつでも新鮮な気持ちで振り返ることができます。

    Excelを使ったマインドマップの魅力

     マインドマップをエクセルを使って描くメリットは、それこそ無数にあります。

     何しろ新しく使い方を覚える必要がない。これまでの知識で十分使いこなせる。

     新たにソフトを購入するわけでもありません。ソフトの更新を心配することも、ソフトの不具合を心配する必要もない。

     そして、一番のメリットは、Excelの入っているパソコンがあれば、だれでもいつでもどこでも使えること。これは大きなメリットです。ネットに接続しないと使えない、とか、マインドマップソフトの入っているパソコンでしか使えないなどの不都合がありません。

     但し、ここで一つ問題があります。管理人が使っているのはExcel2010。XLmapも2010用のものを使っています。マクロも2010で作りました。

     ところで、Excel(Office)はこれ以降、2013、2016、そして2019とバージョンアップしています。この新しいバージョンで同じようにXLmapやマクロが使えるかは分かりません。

     エクセルのバージョンが違うとマクロ機能が変更になったりするため、新しいバージョンでは使えなくなることもあるようです。新しいバージョンのエクセルを持っていないので検証できません。

     XLmap開発者さんは、すでに更新をやめています(HPの最終更新が2014年4月)。

     もし、うまく動かない場合は、マクロを調べますが、XLmapはリボンに組み込んでいるのでxmlも調べる必要がありそうです。

     Excel2010でもXLmap2010用が動かないと困っている人もいたようです。パソコンの設定の違いなど動かない理由はたくさんあるので、自分で解決するしかないでしょうね。動かないからと制作者さんに聞くのはお門違いでしょう。何しろみんなが使っているExcelなので、世の中にはとてつもなく詳しい方がたくさんいます。これも市販のソフトにはない、Excelを使ったマインドマップの強みでしょう。マインドマップに追加したい機能があれば、ネットで相談するとマクロを教えてくれる人もたくさんいます。これもExcelのマインドマップの魅力でしょう。

     冒頭の手書きメモをマインドマップにするとこんな感じ。書き始め段階のイメージです。

     使用フォント:  

    • ひらがな・漢字 ⇒ おひさまフォント
    • 「帅嘤嘤」   ⇒ Senty Snow Mountain 新蒂雪山体
    • 英字      ⇒ Bickley Script

    マクロファイルのダウンロード

     マクロファイルの準備ができましたのでアップします。以下のリンクからダウンロード可能です。

     『MindMap移植用(excel2010用).xlsmのダウンロード

    ダウンロードパスワード: cesar2020

     アップしたファイルはマクロ付きエクセルファイルです(拡張子:xlsm)。このファイル単独では機能しません。「XLmap2010」をVectorから入手して、ダウンロードしたファイルのマクロを「XLmap2010」に組み込む必要があります。ファイルの中に詳細な手順を書いているので、誰でも簡単にできると思います。

     使い方に慣れてきたら、マクロはクイックアクセスバーに登録し、ボタンはすべて削除するのがお薦めです。そうすると、XLmapの画像の一括選択とグループ化ボタンが使え、全体の移動が楽になります。

    実際の設定

     管理人は、以下のように設定して使っています。

     マクロは、ボタンではなく、タブに設定し直し、そのタブの位置をファイルの次の位置にします。ボタンは削除。これがあると、オブジェクトの選択・移動に支障が出ます。タブの位置を[ファイル]タブの次に設定することで、このタブが常時表示されるようになります。

     この設定の仕方はネットで探せば簡単に見つかると思いますので、ここでの説明は割愛します。

     このExcelファイル。使ってみれば分かりますが、かなり便利です。少なくとも、管理人が欲しかった機能は全て盛り込まれています。

     管理人が使い込んでみて、機能拡充の必要性が生じた場合は、この記事に追記します。

     ダウンロードされた方か、使い勝手についてコメントを頂けると管理人が喜びます。

    【マクロ参考】
     「レスペス・トランクィル」[vba][excel]複数のシェイプを矢印コネクタで繋ぐ 最初に選択したシェイプから放射状に矢印を出す、など