猫を飼うと飼い主が長生きする仕組みを解説?

生活編

 ふと、長寿の秘訣は猫を飼うことではないのか、と考えました。

 こう書くと「アニマルセラピー」のことを頭に浮かべた方もいると思います。でも、管理人の発想は全く別の所にあります。
 一般に、動物は栄養状態がよいと長生きするようです。日本人の寿命が世界的に高い水準に急速に至ったのは、栄養改善と栄養の質と考えられているようです。

 同じ日に生まれ、同じ食べ物を食べていても死ぬ日は皆違います。

 なぜでしょうか。どうして同じ日に死なないのでしょうか。不思議に思いませんか。

 管理人は、「アニマルセラピー」の考え方はとても表面的と思えます。

 「アニマルセラピー」における動物は「癒やしの効果」に特化されており、とてもうさんくさい理論です。メンタル面の効果は証明が難しい。

 管理人は、むしろ、細菌接触による免疫力の向上にこそ焦点を当てて研究すべきではないかと考えています。

 猫はネズミを捕まえます。うちの愛猫ピーちゃんもよく捕まえてくるので困ります。ピーちゅんは獲物を傷つけないような噛み方で家にネズミを持ち帰るので、無傷のネズミが家中を逃げ回り、大変な目に遭います。

 ところで、このネズミは、道ばたの側溝をねぐらにするドブネズミです。衛生面から見たらこれ以上不潔なものはないと思えるような生き物です。

 でも、猫はこのネズミを捕まえます。猫も当然、細菌に汚染されます。しかし、だれも猫を消毒しようとはしません。衛生面にうるさい奥様方も猫を消毒している人はいないのではないでしょうか。

 猫の表皮はとてもデリケートなので、殺菌しようとすると炎症を引き起こします。

 近年、感染症や寄生虫症の患者数が減少する一方でアレルギー患者数が急増しています。現代社会があまりにもキレイになりすぎたのが原因のようです。たとえば、サナダ虫を体内に飼っているとアトピーは完治するそうです。

 過度に盲信する清潔志向。キレイになりすぎた環境。それをさらにキレイにする商品も販売されています。除菌グッズや紫外線照射機能付きの掃除機などです。

 このようなキレイな環境は健康のために、一見好ましいように思います。しかし、結局は人間の免疫力の低下につながっているのではないでしょうか。人間の免疫機能が怠けてしまい、いざというときに役に立たない。

 テレビで東京・杉並区ちびっこランド八幡山園という保育園で、子供たちを外に連れ出しどろんこ遊びをさせている映像が流れていました。泥の中には土壌菌がいて、子供たちを自然に遊ばせれば、自然に免疫力も上がってくると思う、園長が話していました。子供を保育園に預けている親は、確かに風邪をひかなくなったし、アレルギーもない、と実感しているようです。

 『免疫力アップのために積極的に細菌に触れる』

 大人はどろんこ遊びはしませんが、このキレイすぎる環境の中にあって、たくさんの細菌を積極的に我々に提供してくれるのが『猫』。

 毎日、たくさんの細菌をバランスよく家の中に運び入れてくれます。そして、飼い主は、日常的にそれに積極的に接している。これは行動範囲が限定されている犬の比ではありません。

 病気に罹りやすい人と罹りにくい人がいます。その違いはその人の持つ免疫力。たくさんの細菌に日常的に接することで免疫力は強化されます。

 世界的な免疫学の権威である大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文教授が、「社会が衛生的になり、その結果として逆に増えてくる病気がある。そのひとつがアレルギーである。」と述べています。

 素人が専門家のフリをできる分野のひとつが「セラピー」だと思います。だから「アニマルセラピー」と聞くとうさんくさいと思ってしまう。米ミネソタ大学心臓病研究所のアドナン・クレシ博士のグループの研究結果などを使って、その有効性を論じるのが素人のセラピストたち。自分で研究などせず、専門家を自称しています。

 「アニマルセラピー」を全否定するつもりは毛頭ありませんが、本稿で述べる細菌と免疫のメカニズムを度外視した主張はいかがなものかと思います。あまりにも薄っぺらな理論という気がします。

 オリンピックで活躍したアスリート達も引退しトレーニングをしなければ、筋力は一般人並になるのではないでしょうか。
 明治生まれの人は・・・というフレーズに続くのは、精神と肉体の強靱さでしょう。精神についてはわかりませんが、肉体については分かります。

 「どれだけ細菌に汚染された環境を生きてきたのか」
 このキーワードで過去の人々を見直すと長寿にまつわるヒントが見えてきそうです。

<参考>
テレビ番組の部分は以下を参照

 2016年1月27日 TBS1 『テレビ未来遺産 緊急!池上彰と考える 今年の細菌・ウイルス大疑問』

 過剰異常な免疫反応を抑える。そういうことに特化したリンパ球がいる。それが制御性T細胞(Tレグ)。免疫反応を抑えるTレグは人により異なるため、アレルギーを起こす人と起こさない人がいる。多くの人がアレルギーを起こさないのはTレグのおかげ。

 Tレグは、体内に何らかの物質が入ったとき、それが身体に害があるかを見極める働きをし、キラーT細胞やNK細胞に指令を出し、攻撃を促したり、やめさせたりする。

 Tレグの発達は、細菌・ウイルスにどれだけ深く接するかに関わっている。

 「環境をあまりにキレイにしすぎる、過度に衛生的にするのではなく、適度に最近やウイルスにさらされる。そういうことが免疫のよい刺激になり、Tレグも鍛えられる(坂口教授)。」