以前録画しておいたビデオを見ていたら、「水平線ってどこにあるの?」というフレーズが目にとまりました。2015年5月31日、フジテレビで放映された「拝啓!ガリレオ様」という番組です。(”ガリレオ”というフレーズで録画設定しているので、たまたま録画されていた番組です。)
この問いについての解答として、国立天文台の懸秀彦准教授が、三平方の定理で説明していました。
浜辺に立った人の身長により、値は異なりますが、身長が170cmの場合、水平線は4.7km先にあるという解答でした。地球の半径約6400km、そして、それに観測者の身長を加えた値を用いて、三平方の定理で水平線までの距離を計算するというものです。
これを見て、「へぇ~っ」と思いました。話を簡単にするために概略の計算方法を示したのでしょうが、とても違和感を感じました。
なぜ違和感を感じたのか。
それは有効数字の考え方です。地球の半径はキロ単位でしかも100km単位で数字を丸めています。一方、人間の身長は170cm。メートルに直したら1.7mです。「地球の半径6400000m」と「地球の半径+人間の身長:6400000m+1.70m」という二つの値で、三平方の定理を使うのです。とても乱暴な計算です。
管理人は、こんな計算は怖くてできません。
さらに、地球は真円ではないので、緯度により半径が異なります。その影響はどのくらいになるのでしょうか。
早速計算してみました(笑)。
観測場所はどこでも良いのですが、大洗港の脇の砂浜にしました。
緯度は、「36度18分06秒」です。
次に、観測者の身長ですが、身長では計算できないので、「観測者の目の高さまでの身長」としました。(身長で計算する場合は、頭頂から目の中心までの距離約11cmを身長から差し引く必要があります。)
地球の大きさについては、Wikipediaの数値を用いて、赤道半径6,378.137km、極半径6,356.752kmの回転楕円体として計算しました。
その計算結果が以下の値です。
4651.889026m
4.65km。四捨五入すればテレビの解答である4.7kmにかなり近い値です。
以上のように、今回は、精密に計算した結果も概略の結果もほとんど一緒という結論になりました。この値の差が大きければ、どの要素が計算結果に大きく影響するのか検証しようと思ったのですが、かなり近似値になったのでやめました。
管理人としては、なんとなく不完全燃焼です。この差がもっと大きければ、有効数字の話をしたかったのですが、それは別の機会にします。
(管理人にとって、二つの方法では計算精度が全く違うのに、なぜ、こんなに近似する数値になるのかということの方が関心事です。)
この計算の面白いところは、「高い所に登ったとき、どこまでの範囲を見通せるか」という疑問に答えることができる点です。スカイツリーに登ったら、どこまで遠方が見えるのか、富士山山頂からならどうか、など疑問に思っても、簡単に計算できます。