近年、キャッシュレス化が進行しているとメディアで盛んに取り上げられています。
まったくおかしな方向に進んでいると感じるのは管理人だけでしょうか。
キャッシュレス決済がトレンドで、現金での支払いがまるで時代遅れでもあるかのような風潮はいかがなものかと感じます。
キャッシュレス決済ができるのは、『電気があるとき』だけです。停電になれば、すべての決済が止まります。
銀行に行けばいつでもお金を下ろせる? 電気がなければできません。すべての決済ができないのです。
自然災害の宝庫のような日本。台風、洪水・高潮、火山噴火、地震など、世界的に見て自然災害のリスクがこれだけ高い国は他にありません。
現金がなければ、自然災害の時にとても困ります。阪神淡路大震災や東日本大震災の時に多くの被災者が困ったのが、お金。銀行にいくら預金があっても、それを引き出す手段がないからです。
よその国は別として、自然災害の多い日本では、安易にキャッシュレスに向かうべきではないことは、誰の目にも明らかだと感じます。
キャッシュレスの主管省庁はどこか
キャッシュレスの推進役となっているのが、経済産業省によるキャッシュレス推進政策なのだそうです。
原発を推進した省庁ですね。福島の原発事故では後処理を環境庁に丸投げして、ほとぼりが冷めると再び原発推進を掲げる。原発問題で主務官庁なのに、いつも表に出てこないという不思議な官庁です。
キャッシュレス推進で問題が発生しても、他の省庁に後処理をゆだねる魂胆なのは見え見えです。
別の見方をすると、とても無責任な省庁と捉えることができます。(国の施策だからという錦の旗の下)行け行けどんどんで推進し、問題が起きれば、よその省庁に問題解決を丸投げする。
こんな楽ちんな官庁は他にありません。国の公務員になるのなら経済産業省です!
原発事故処理を見れば分かるとおり、この官庁が推進する施策は要注意です。自分の尻も拭けない官庁が推進する施策など、怖くて信用できません。彼らには、危機管理の意識が欠如しているように感じます。自分の尻も拭けない官庁などその存在意義が問われます。
もう一度書きます。「自分の尻も拭けない官庁」ということです。
世界全体が被害を受ける太陽フレアの恐怖
11年周期で変化する太陽の黒点。次の太陽活動極大期は2025年と予想されており、大規模太陽フレアの発生に対する予測が注目を集めています。
太陽フレアなんて、年中発生しており、過去にそれほど深刻な被害が発生していないから問題ないと考える人も多いようです。
しかし、それは、たまたま運が良かっただけなのかも知れません。
1859年に発生した太陽フレアの大爆発による太陽風は、たまたま、地球の方向への直撃にはならず、大きな被害は発生しませんでした。しかし、それは、たまたまそうなっただけなのです。
もし、太陽フレアの大規模爆発の方向が地球を直撃する場合、恐ろしいことが起きると考えられています。
それが、全ての人工衛星の喪失。とうぜん、国際宇宙ステーション(ISS)の乗組員は全員死亡します。
地球を回る12000個以上の人工衛星。これらの衛星のうち現在運用されているのは数パーセントなのでしょう。
通信衛星、気象衛星、放送衛星、軍事衛星、その他の衛星など、様々な目的で打ち上げられた人工衛星。それが、強烈な太陽風やX線により電子部品が故障し制御不能となります。そして、いずれ地上に落下してきます。制御不能のまま。
人工衛星を喪失すると、飛行機も飛ばせません。外航船も運航できない。GPSもトランスポンダーも使えなくなるからです。
この現象が人類に与える最も深刻な影響は発電所の火災の発生でしょう。これにより電気が止まります。
大規模太陽フレアの発生による災害は、自然災害大国日本だけでなく、世界中の国々が一斉に被害を被ります。そして、最初にこの被害を受けるのが、今や全世界に張り巡らされた金融システムです。
通信衛星を喪失しているので、衛星通信は使えません。無線通信は、電離層がフレアの影響でどうなるのか誰も予測できない。
フレアが発生する前日まで、日本のキャッシュレス化が他国より劣っているという記事を配信していたメディアは、巨大フレアの発生により、その報道は一変します。
その報道内容は容易に想像できます。
「予測された巨大フレアに対する政府の対応は? なぜ、それを予測できなかったのか!」
後出しじゃんけんしかできない悲しいメディア。問題が発生しないと問題の所在すら理解しないメディア。
本来であれば、メディアが率先して、巨大フレア発生のリスクに警鐘を鳴らすべきです。それなのに、キャッシュレスで日本が他国より遅れているという、意味不明の記事をたれ流しています。
キャッシュレス化でメディアが例として取り上げる他国とはどこか? 結局、国民統制につながる個人情報に無頓着な韓国と、民主とはほど遠い中国で一位、二位を占めています。
他の先進国は、当然、慎重です。
多くの戦争を経験してきた欧米の国はキャッシュレス化に慎重なのです。この事実をメディアは隠しています。脳天気なので隠しているという認識すらないのかも知れませんが。それはそれで大問題ですが。
カナダやオーストラリアなど、自国が戦場になったことのない国のキャッシュレス化の比率が高い傾向にあります。いずれも日本とは異なり、自然災害のリスクとは縁遠い国です。
そんな国々を比較の対象として、「日本のキャッシュレス化が遅れている」というメディアの主張には違和感を覚えます。むしろ、自然災害国である日本は、他国のキャッシュレス化にかかわらず、現金取引を堅持すべき、という主張こそが、本来のメディアの姿と感じます。それは幻想なのでしょうか。
1989年3月に磁気嵐の影響で電力網が大被害を受けていた
太陽フレアの影響など問題視しない方も多いと思います。歴史的に見て、被害などたかが知れているという見解です。でも、その見方は正しいのでしょうか。「歴史的に見て」の歴史の中で、電子部品は出てきません。リスクの主体が変化しているのです。
「1989年3月13日に起きた磁気嵐は地球に非常に大きな影響を及ぼし、カナダではハイドロ・ケベック電力公社の電力網を破壊し深刻な被害をもたらしたり、米国の気象衛星の通信が止まるなど、各国の様々な社会インフラストラクチャーが影響を受けた。」(Wikipedia,「1989年3月の磁気嵐」)
この磁気嵐を引き起こした原因が、1989年3月9日に発生したX15クラスの巨大太陽フレアによるコロナ質量放出でした。
これだけ読んでもイマイチ理解できませんね。もう少し詳しく見ていきましょう。
太陽フレアにより電力系統が損壊する仕組み
2022年2月4日、宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会が、「太陽フレアが電力系統に及ぼす影響について」というレポートを公表しています。
太陽風じょう乱により発生した地磁気じょう乱により、地上の磁場が変動する。
出典:宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会、2022年2月4日
磁場が変動することにより、電力系統に地磁気誘導電流(準直流電流)が発生する。
その電流により電力設備が設備損壊および機器の誤動作などが発生する虞(おそれ)がある。
従って、太陽の異常活動が電力系統に影響を及ぼすのは2~3日後である。
レポートでは、1989年3月13日にカナダで地磁気誘導電流により広範囲停電が発生したという具体的な事例を挙げています。
この障害について調べてみます。”March 13, 1989 Geomagnetic Disturbance – NERC” というレポートに詳細が書かれています。
北米で太陽フレアに起因する大停電が発生しました。その電力障害は次のようなものでした。
- 1989年3月13日、太陽活動とそれに伴う地球上の地磁気擾乱(GMD)が発生した。
- 地球上の地磁気擾乱(GMD)が発生した。
- 北米の電力系統に大きな障害をもたらした。
- 北米の電力系統に広範な障害をもたらした。
この障害発生のメカニズムは次のようになっています。
停電発生メカニズム (March 13, 1989 Geomagnetic Disturbance(NERC)より抜粋)
太陽フレアに伴う磁気嵐が発生
↓
磁気嵐による地磁気の変動により地磁気誘導電流が発生
↓
地磁気誘導電流により変圧器鉄心が飽和し高調波が発生
↓
高調波により調相設備の保護装置が動作し調相設備が停止
※調相設備:変電所や長距離送電線中間に設置した無効電力設備により、無効電力を吸収・発生して電圧を一定に保つ制御を行うもの
↓
長距離送電系統における安定的な送電ができなくなり送電線が停止
↓
大容量水力発電が送電不可(全系の約1/2の発電電力を喪失)
↓
全系崩壊
停電影響
・停電時間:9時間
・影響規模:600万人に影響
・復興期間:数ヶ月
(出典:経済産業省電力安全小委員会 「太陽フレアに伴う磁気嵐」)
総務省「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」
2022年4月26日、「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会(第8回)」のまとめが公開されています。
この分科会で「最悪シナリオの想定」を行っているのですが、仮説の設定に疑問を感じます。
想定の前提条件として、「100年に1回程度の頻度で発生する極端な宇宙天気現象(いわゆるエクストリーム・イベント)がもたらす被害を想定した」としています。
なぜ、100年に一度なのでしょうか。そのように考えた理由を知りたい。
近年の異常気象を見れば分かるように、100年に一度の異常気象が頻発しています。100年に一度のリスク想定では、ひとたび巨大太陽フレアが発生した場合に被る被害の大きさと釣り合っていません。最悪のシナリオを想定するには、あまりにも被害を過小評価していることになります。
最低でも200年確率、あるいは400年・500年確率で想定すべきだと思います。
また、最悪のシナリオに、人工衛星全損が含まれていません。つまり、最悪のシナリオではないということです。これこそが本来メディアが指摘すべきことなのです。
データ情報の関係から計算できそうな範囲で想定した「なんちゃってシナリオ」ではないでしょうか。
「最悪のシナリオ」というタイトル付けは、読者をミスリードします。500年確率のフレア大爆発の前では100年確率の被害予測などゴミのようなもの。そんなものは最悪でも何でもありません。
「最悪のシナリオ」とは、全人工衛星を損失する規模のものを言います。逆に、そこから、確率年を逆算して決定すべきでしょう。それこそが「最悪のシナリオ」にふさわしい。
どんな規模の太陽フレアが発生した場合、すべての人工衛星が機能停止になるのか。それが重要な評価ポイントになります。
氷床コア中に含まれる硝酸塩濃度の分析により、直接の観測結果のない過去の大規模な太陽嵐等の発生状況を調査することができる。これは高エネルギー線によって大気上層部に窒素酸化が起きることを利用している。グリーンランドの氷床コアのデータがKenneth G. McCrackenらによって集められ、この規模(地磁気の影響の大きさではなく高エネルギー陽子の放出によって評価される)の太陽嵐がほぼ500年ごとに起こっており、少なくともこの5分の1の規模の太陽嵐が1世紀に何度かずつ起こっている証拠が得られた。1921年と1960年にも小規模な太陽嵐が発生し世界中で電波障害が発生したことが報告されている。
Wikipedia, 「1859年の太陽嵐」
確率年を500年とする根拠はこれかも。そもそも100年確率などお話にならないレベルです。それを最悪のシナリオなど、国民をミスリードする公表は許せませんね。
あとがき
執筆途中にもかかわらず記事をアップする、という本サイトの典型的なスタイルです。本記事は、かなり長くなると思うので、あっさりバージョンでアップします。この記述が消えたときが最終稿になります。
管理人の問題意識として、キャッシュレス化に対するメディアの報道と、政府の姿勢に対する疑問があります。
キャッシュレス化肯定論としてメディアが取り上げるのは、いつも中国の事例。それも、上海など3都市程度の事例に限定されています。中国の他の都市の事例はほぼ皆無。これがおかしな情報だとネット民はすぐに気づきます。
メディア配信企業の担当者は当然、怪しいと思いながらも、格安ライターの無責任記事を配信しています。それが現在のメディアの実態です。
災害が起きたら使えないキャッシュレスなどの社会システムがおかしいと思うのが常識でしょう。停電したらどんなお金持ちでも飢え死にしてしまうと言うことです。それがキャッシュレス化の実態です。
キャッシュレス化って経産省が進めているようですが、そもそも経産省って福島の原発事故で責任官庁でありながら何もやらなかった官庁です。さんざん原発を推進しながら、一端、事故が起きれば、後処理は環境省に丸投げ。こんな省庁が推進するキャッシュレス化など、怖くて信用できません。
メディアの報道がおかしい理由は、経産省に対する批判がほとんど見られないこと。批判の矛先はすべて政府に置き換えられた報道になっています。明らかにダブルスタンダードです。「セーフが、セーフが」と言っているメディアは「アウト!」です。
キャッシュレス化に対するリスクについて、学術的検討に大規模な爆発的太陽フレアは入っていません。しかし、それは必ず起きるものです。
過去に起きていない。それは嘘です。過去に発生した大規模太陽フレアの影響を現在発生したと仮定すれば、壊滅的な被害を及ぼすことになります。
太陽フレアだけでなく、コロナ質量放出、コロナホール、CME/CIRの影響などについては後ほど書きたいと思います。
この図から分かるように、太陽の爆発的影響は、単に「太陽フレア」のみならず、「コロナホール」や「CME/CIR」という影響も懸念されます。
管理人の気力があれば続きを書きます。