ネット上には、たくさんの情報があふれています。その中でも注目を集めるのが「衝撃写真」や「不思議写真」でしょう。どう見てもフェイクにしか見えないけれど、出典も書かれていて本当らしい・・・。と思うような記事を何度も見たことがあると思います。同様の記事を探しても、同じことばかり書かれていて、結局のところ、それが本当なのか嘘なのかが分からない。
今日は、そのような記事が本当のことなのか確かめる方法をご紹介します。
サンプルとして、「でか過ぎぃ!パナマ運河で世界最大級の巨大ワニが捕獲される!」という記事を使いましょう。
この情報は、『とざなぼニュース』さんで取りあげています。
記事の内容は以下のようになっています。
「2014年12月5日金曜日、国家環境局(ANAM)当局は、パナマ共和国のパナマ運河と同じ水域にある人造湖「ガトゥン湖」でとてつもなく巨大なクロコダイルワニを発見し、捕獲しました。世界最大のワニとしてギネス世界記録更新される可能性があるといいます。」「 ネット上で非常に話題となり、「合成写真じゃないの?」との疑惑の声があがるほど。確かにコレはデカすぎてフェイクと疑ってしまいますが本物らしいです・・・。 」 という記事です。そして、ニュースソースへのリンクが貼られています。
このリンクを辿ると、「telemetro.com」というサイトが情報の発信元であることが分かります。出典元の記事は短いので全訳してみましょう。
『タイトル:コロン県で捕獲されたクロコダイルをガツン湖に移送(Trasladan al Lago Gatún a cocodrilo capturado en Colón)』
『2014年12月6日(4:51PM), Marilyn Cejas。 今週土曜日の午後、国立環境保護局(ANAM)の担当者たちが、金曜日にコロン県のクアトロ・アルトス(Cuatro Altos)で見つかったワニをガツン湖に移送しました。この動物はとても大きく重いので、移送にあたっては何人もの人たちが手伝いました。コロン県では、「フアンチョ(Juancho)」という名前で呼ばれるワニの体長は、約3メートルです。アリゲーターとクロコダイルの主な違いは、アリゲーターの方がクロコダイルよりも幅広い頭をしている。たとえば、アリゲーターの口が閉じているとき、歯は見えませんが、クロコダイルでは見えます。アリゲーターは短い幅広い鼻を持っています。それに対して、クロコダイルの鼻は長く幅が狭い。』(以上、翻訳)
書かれているのはこれだけです。スペイン語の出典元と日本語の記事とで内容が全く違うことがお分かりでしょう。ギネスブックの話はどこにも出てきません。何しろ、体長3メートルなので、それほど大きな個体ではありません。
どこのサイトが最初に記事をねつ造したのかは分かりませんが、このような「偽情報」が拡散するのは避けたいものです。お遊びでやっている分には楽しいのですが、「偽情報」をいつの間にか本当のことだと勘違いする人が出てくるから困ります。
今回は、スペイン語サイトの出典元を確認することで、日本語の記事がねつ造されたものだと分かりました。しかし、出典元にも同じことが書かれている場合があります。つまり、出典元が偽情報を流しているケースです。その例がこちらです。
2015年3月10日付け「ワールド・ニュース・デイリー・レポート」が「ココ島で2億ドルの伝説の財宝出土」という見出しで、コスタリカのココ島で海賊の隠した財宝がついに発見されたと報じました。
この記事を出典として、日本でもいくつかのサイトで紹介されました。このサイトは非常に良くできていて、偽造記事を配信するようには思えないサイトの作りになっています。だから、皆さんが簡単に欺される。
ところが、この記事はとんでもないガセネタです。
この記事がガセネタだということを過去記事で説明しているので、詳しくはそちらをご覧下さい。現地紙で確認する方法を採っています。
『海賊の財宝伝説に迫る(6):財宝の現在位置を割り出す』の最後の部分です。
【メモ】
アリゲーター En: alligatoe, Sp: lagarto
クロコダイル En: crocodile, Sp: cocodrilo